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2007年9月の記事

2007年9月19日 (水)

法人格の取得と非課税の関係について

 現行、NPO法人と公益法人は、法人格の取得(NPO法人が認証主義、公益法人は許可主義)と法人税の非課税が一体となっており、寄付金控除の優遇措置のみ別途申請が必要になっています。

 寄付金控除とは、非営利法人に対して寄付を行った者に対する優遇税制です。

 公益法人の場合、平成20年12月1日から新制度がスタートしますが、新制度では、法人格の取得(今度は準則主義)と公益性の認定が分離されることとなりました。そしてまだ決定ではありませんが、ひとたび公益性が認定されれば、法人税の非課税だけでなく、寄付金税制まで一挙に優遇されることが予想されています。

 ところで、わが国では上記のような制度となっていますが、海外では非営利組織における、法人格と非課税の関係がどのようになっているかについて、ちょっと触れておきたいと思います。

 筆者の手元にはアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの資料があるので、この各国の概要をご紹介します。

 まずアメリカですが、国家(連邦法)として非営利法人の統一的な法律は存在せず、法人格の取得は各州の法律によっています。そして法人格があるかどうかには関係なく、連邦法である内国歳入法により公益性が認められれば法人税と寄付金控除の免税措置がセットで受けられることになっています。

 次にイギリスでは、チャリティ(公益・慈善目的で活動する団体)と呼ばれる団体が、法人格の有る無しに関わらず、チャリティ委員会(第三者機関)によって公益性が認定されれば、登録チャリティとしての資格が付与され、こちらも法人税と寄付金控除の免税措置がセットで受けられます。

 ドイツでは、民法により非営利社団に法人格を付与する登録社団法人制度(準則主義)および財団に法人格を付与する制度(許可主義)と、租税通則法により地方税務署が公益性を認定し優遇税制を適用するという、2段階構造で、公益性が認定されれば、本来事業だけでなく収益事業も免税となり、寄付金控除もセットになっています。

 最後にフランスは、非営利団体は届出により法人格を取得でき、非営利法人は非営利活動を行う限りは法人税が非課税で、公益性の承認を得ると寄付金控除が受けられる仕組みになっています。

 このように、非営利団体を巡る制度は各国各様です。

 当然、NPO法人制度の制定や、新しい公益法人制度作りの際には、これら諸外国の制度を十分に参考にされています。

 どれが良くて、どれが悪いのかは一概には言えません。それぞれ、その国の風土、慣習、伝統、文化、政治的思惑によって違いがあり、わが国の制度も、各国の制度を踏まえつつ、わが国の風土、慣習、伝統、文化、そして政治的思惑によって成立しています。

 この中で筆者が優れていると考えるのは、一応政府とは独立した第三者機関となっているイギリスのチャリティ制度と、イギリスおよびアメリカの、法人格の有無に関係なく非課税の措置を受けられるという点です。

 わが国も新しい公益法人制度では、公益性を判断するため、国には公益認定等委員会が設置されており、都道府県にも合議制の機関が設置されますが、最終的に判断を下すのはあくまでも国や都道府県であり、公益認定等委員会や合議制の機関はあくまでも諮問に対して答申する権限しか与えられませんでした。

 法人格の有無に関して言えば、わが国でも法人格のない、いわゆる権利能力なき社団は法人税法上の収益事業を行っていない限りは、法人税が非課税になっています。ただ寄付金控除の制度はありません。

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2007年9月 4日 (火)

1年経っても変わらない?のんきな?公益法人

 先日平成19年版の「公益法人白書」が公表され、公益法人の現況がわかる様々な最新の統計が明らかにされましたが、公益法人やNPOに造詣のある筆者からすると、大変驚くべき?というか、非常に残念な数値がひとつありました。

 それは取りも直さず、「公益法人本来の事業費割合別法人数」の数値です。

 昨年から改善されるどころか、むしろ悪化していたのです。

 どういうことかと言いますと、現行、公益法人の指導監督基準では、公益法人本来の事業(定款または寄附行為において公益事業として規定されているもの。付随的に収益を目的とする事業を除く)の規模が、可能な限り総支出額の2分の1以上にしなければならないことになっています。

 昨年の白書では、この要件を満たしている法人は、全公益法人2万5,263法人中1万753法人で、42.6%でした。

 それが今回の白書では、全公益法人2万4,893法人中1万388法人で、41.7%でした。

 昨年より365法人、0.9ポイントもこの要件を満たす公益法人が減少してしまいました。

 指導監督基準は法律ではなく行政指導のレベルであり、またこの要件は、「可能な限り」ということなので、絶対的な強制力はありません。

 しかし、新たな公益法人制度では、公益法人認定法において、公益目的事業比率が100分の50以上となることが見込まれることが認定の基準のひとつであることが規定されています。

 したがって、計算の方法は少々ことなるものの、もし現在の数値をそのまま新しい法律に当てはめたならば、半分以上の約6割、1万4千以上もの公益法人が公益法人として生き残れなくなってしまうので、これを改善するようぜひ努力して頑張って欲しい、ということを、このブログを書き始めた当初に執筆したのですが、昨年から1年経って、公益法人の方々が努力をしてこの数値が少しは改善されただろうかと期待して白書を読ませてもらったところ、改善どころか、指導監督基準を遵守している公益法人の数が減少してしまうという結果が出てしまいました。

 もっとも、昨年の統計も、おととしの統計より悪化していましたのですが・・・・

 新しい公益法人制度は、平成20年、つまり来年の12月1日施行の予定です。

 それから5年間の移行期間の間に、公益法人としての存続を希望する法人は、必要な要件を満たさなければなりません。

 普通の感覚では、公益法人としての存続を希望するなら、わずかずつでも改善する努力をするのが当たり前なのではないかと思うのですが、この数値からは、残念ながらその姿勢も見られません。

 世間から誤解を招くもとになるのではないかと、筆者は大変懸念しております。

 一体この数字は、何を表しているのでしょうか。

 6割の公益法人は、公益法人として生き残るつもりがないのでしょうか。

 新しい法律が施行されてから5年間の間にすればいいんだから、まだいいやと考えているのでしょうか。

 しかし、このような事業の比率を改善するようなことは、簡単に3~4年でできるものなのでしょうか。

 急激な改革は下手をすると財政を悪化させ、突然のリストラによる職員の生活や、法人の存続自体が危うくなるなど様々なリスクを伴うことから、普通はゴーイング・コンサーン(事業の継続性)や安定的な経営をしていく見地から、中・長期的な計画の下、可能な限リスクを避けて徐々に改善していくものではないかと筆者は考えるのですが、どうでしょうか。

 急に1年か2年で改善するようなことは、果たしてそのようなことが可能かどうか分かりませんが、仮に出来たとしても、国民から疑いの目を向けられてしまわないでしょうか。

 ただし、白書の数字は、昨年10月1日現在のものなので、決算数値については昨年3月期のものになります。

 新しい公益法人制度の案が公表されて公益認定の基準が明らかになったのが、昨年3月です。

 つまり、今回の白書の統計は、新しい公益法人の認定基準が明らかになってからのものではありません。

 新しい公益認定の基準が公表されてからの、公益法人の動向が明らかになるのは、来年の白書の中でということになりましょう。

 今回はかなり公益法人に対して苦言を呈させていただきましたが、決して誤解を受けることなく、公益法人が社会一般から広く信頼を勝ち取れるよう日々精進して活動されるよう、心からお祈りすると共に、そのために私に何かできることがあれば、大変微力とは思いますが出来る限りの努力をしていきたいと思っています。

参考:平成19年版公益法人白書

  概要版 → http://www.soumu.go.jp/menu_05/hakusyo/koueki/pdf/2007_gaiyou.pdf

  本文 → http://www.soumu.go.jp/menu_05/hakusyo/koueki/2007_honbun.html

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