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2007年7月の記事

2007年7月30日 (月)

財団法人の評議員の選任方法から思うこと

 財団法人の評議員(会)は、現行民法には規定がなく、行政指導により設置されている機関です。

 評議員(会)は法人の執行機関(理事)の監督機関と位置づけられ、財団法人では通常、この評議員により理事が選任されています。

 そして、法定の機関ではないので、その選任方法が法人の任意に委ねられていたところがあったのと、財団法人の性質上、今まではこうするしかなかったといえば、こうするしかなかったのかも知れません。

 評議員は、理事が選任することとしている財団法人が多いようです。

 お互いがお互いを選任するこの方法は、執行機関(理事・理事会)が、本来これを監督すべき評議員会の構成員である評議員を選任することは、被監督者が監督者を選任することとなるため、評議員会の執行機関への監督が十分に果たされなくなってしまうという問題を孕んでいます。

 確かに、何か変な感じがしないでもないですよね。いつ馴れ合いになってもおかしくないと言うか・・・

 これは他の法人制度にはない、財団法人特有の問題のように考えられます。

 このような問題を解消するため、新しい公益法人制度では、評議員を理事会が選任することを禁止しています。

 ではどのようにして評議員の選任を行うのでしょうか。

 法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)では、具体的には定められおらず、ただ定款で定めることとだけしか規定されていません。

 要は、理事が選任する以外の方法であれば、どのような方法でも構わないと解釈できます。

 今のところ一般に考えられているのは、以下の3つの方法です。

 ① 評議員会の決議による方法

 ② 評議員の選解任のための任意の機関を設ける方法

 ③ 外部の特定の者に選解任を委ねる方法

 おそらく、①の方法が圧倒的に多くなるのではないかと予想されます。

 しかしながら、自分たちで自分たちを選任する方法というのも、どうなのでしょうか。

  株式会社を含む他の社団は、構成員(株主や社員、組合員など名称はいくつかあります)が役員(取締役や理事など)を選任するのが普通です。

 したがって②や③にした場合には、他の法人制度に近くなる気がします。

 

 しかし、しかしですよ。

 ②や③にした場合でも、その任意の機関や外部の特定の者は、一体誰が選ぶのでしょうか。

 理事が選ぶにしても、評議員自らが選ぶにしても、結局は、やろうと思えば自分に都合のよい人を選任することができてしまいます。

 ①~③の方法であっても、執行機関への監督が十分に果たせるとは、必ずしも言えないのではないでしょうか。

 私もお恥ずかしながら、株式会社などの仕組みを勉強した学生の頃は、なんて素晴らしい仕組みなんだろうと思っていましたが、社会に出てみて初めて、現実は、理想とは程遠いことがわかりました。

 現実には、世の会社は、上場企業以外、そのほとんど(私が知る限りでは全部といっても決して過言ではないのですが、でも中にはそうではないものもあるかも知れません)が、オーナー企業で、株式を自由に売買することはできず、社長(またはその一族)が唯一株主か、または持ち株制度があったとしても、過半数は必ず保有している、つまり、社長(またはその一族)が会社の所有者であります。

 つまり、上場企業以外は、経営者と所有者(株主)が分離しておらず、同一なのです。

 上場企業にしたって、私の見聞きしてきた限りでは、一般の株主が保有している割合が過半数の会社は稀で、最近は多少解消が進んでいるようですが、馴れ合いに近い大企業同士の株式の持ち合いや、いわゆる安定株主によって過半数の保有を行い、基本的には社長や役員の思うがままの会社が非常に多いです。

 少々とりとめがなくなってしまったように思います。

 今回は何が言いたかったかというと、財団法人制度に関しては、新しくなっても、結局、被監督者と監督者の関係の問題は、解消し切れていないのではないでしょうか、でもこれは、財団法人特有の問題ではありますが、似たようなことは一般の法人人にも言えることです、ということです。

 理事は評議員会で選任し、評議員は自分で自分を選任するのも何だし、任意の機関や外部の特定の者に選任を委ねるにしても、評議員の選任方法は具体的には法定されていないので、理事が選任することが可能といえば可能です。そうすると、実質的には自分の都合のよい者を選任することが、結局は可能になってしまいます。

 何か、堂々巡りのようですね。

 最後に、唯一救われていると思うのが、NPO法人や公益法人としての社団法人だと思います。

 NPO法人や社団法人については、社員になるにあたって、不当な条件を付すことは認められないので、一定の要件を満たせば、基本的には誰でも構成員になり、法人の運営に参画することが可能です。

  

 

 

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2007年7月23日 (月)

どうしても、ひとつだけ気になることが・・・

 7月10日に、内閣府は新しい公益法人制度における、公益認定等に係る政令・内閣府令の案を公示し、意見の募集を始めました。

 

 政省令策定にかかる公益認定等委員会(以下「委員会」といいます)の議事録をつぶさに読んできましたが、委員会ではかなり詳細な議論がなされており、特に、事務局は新制度の法律をよく勉強・理解して審議事項を作成していて、年金問題をはじめとして官僚のイメージがあまりよくない昨今、この方たちは優秀で熱心な官僚だなあと感心してしまいました。むしろ委員よりも事務局のほうが詳しいのではないかと思うくらいでした。この場をお借りして事務局の労をねぎらいたいと思います。

 

 さて、6月15日付けで公表された委員会の答申を読んだときから、気になっていたことがあります。

 

 認定法18条4号において、収益事業等から生じた収益に内閣府令で定める割合を乗じて得た額に相当する財産は、公益目的事業のために使用し、または処分しなければならないことになっているのですが、これが委員会の答申のとおり、認定法施行規則の案23条において、100分の50と規定されました。

 

 現行の公益法人の設立許可及び指導監督基準でも、可能な限り収益事業の利益の2分の1以上は公益事業のために使用することとされているのですが、これが新法では収益の2分の1以上になりました。

 

 これって、このままでいいのでしょうか。

 

 委員会の答申では、現行でも収益事業の利益の2分の1以上であるからとして、収益の半分は公益目的事業財産に組み入れるべきことがあたかも当然のことのように述べられています。

  

 しかしながら、通常、収益とは事業から得た対価を指し、収益から対応する費用を差し引いたものが利益、つまり収益-費用=利益であって、収益と利益とは同義ではないと考えられます。

 

 そうですよね?

 

 したがって、新法の規定に拠れば、公益法人は利益率50%以内で収益事業を営まなければならなくなってしまいます。

 

 利益率50%以内で事業を行うなんて事は、普通は不可能ではないでしょうか。

 

 この内閣府令がこのまま成立してしまった場合、とんでもないことが起こるのではないでしょうか。

 

 一応、8月8日まで意見の募集(パブリック・コメント)が行われていますので、それまでに意見してみようとは思います。これが何か私の勘違いで、杞憂に終わるといいのですが・・・

 

 もしこのブログを読んで、私と同じような疑問を持たれた方がいましたら、よかったら意見してみてください。

 

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2007年7月 9日 (月)

結集が遅すぎたミートホープ社員

 少し前の話になってしまいましたが、原料不足だけでなく、原価を抑え、利益を上げるために、長年、牛肉ミンチに豚肉、豚の心臓や舌、羊のくず肉、鶏肉、鴨肉、果ては「まんじゅう」(パンの社内での隠語)、「ラビットちゃん」(中国産のウサギ肉の社内での呼び名)まで混ぜ合わせ、その混ぜた肉をさらにまた別の肉と混ぜ合わせ、そのまた混ぜ合わせた肉に水を加えて増量して販売、それが納入先の業者からのクレームで返品されるや、その偽装肉を息子が経営するレストランのカレーの具にして完売してしまったほか、とてもこのスペースでは書ききれないほどの不正販売を行ってきた食肉加工会社「ミートホープ」は、不正が発覚するや一瞬にして会社の存続が立ち行かなくなり、何の罪もない?従業員は全員解雇の憂き目に遭ってしまい、路頭に迷うことになってしまいました。

 これに対し、ミートホープの女性従業員3人が地元のユニオン(個人加盟の労働組合)に駆け込み、労組を結成して解雇の撤回や決算書の提出を求めることにしたことが報道されました後は、目立った報道はされていません。

 筆者がここで述べたいのは、事ここに及んでしまった状態で、果たして、この労組を結成した従業員の要求が、法律的に、または一般社会に、果たしてどれだけ聞き入れられるのだろうかということと、これをNPOや公益法人に置き換えてみた場合に、どうあって欲しいかということです。

 最初に「長年」と少し触れたように、ミートホープの偽装行為の歴史は、非常に深いもので、20年前から行われていたとも言われています。

 もちろん、筆者の感覚(一般の人からしてもそうではないかと思うのですが)からすると、想像を遥かに超えた(あまり下衆な表現をすると筆者の人間性を疑われるのでこの辺の表現に留めておきました)不正行為を行ってきたほとんどすべての責任は、ミートホープの社長および経営層(今回の場合は社長一家)にあります。また、一従業員からすれば、会社の指示に逆らうことなどとてもできないこともわかります。中小企業の場合には、ほとんどは社長がオーナー(資本主)ですから、社長に逆らえば即解任され路頭に迷うことになりますので、例え役員であっても、社長の言いなりになるしかないのが現実の社会でしょう。

 ですから、普通なら従業員には何の罪もありません。

 しかしながら、例えば半年や一年くらいならまだしも、これだけの長きにわたり、会社の不正行為を放置し、会社の指示に従い続けてきてしまった今、従業員に何の罪もないと言えるのかどうか、非常に疑問に思います。

 当然、一人の力では太刀打ちできませんから、従業員は結集するしかないのですが、せめて、不正が明るみに出てこれだけの社会問題になる前に、結集して欲しかったと痛切に思います。おそらくは、これだけの不正を重ねてきたのですから、結集しても、会社は一瞬にして吹き飛ぶ結果になると予想されますが、それでも、結集が早ければ早いほど、交渉も有利に進められるであろうし、その分だけ従業員の立場は守られるのではないかと思うのです。よほどうまくやらなければ無理でしょうが、場合によっては、もしかしたら会社も存続できたかも知れません。

 今回の問題についても、NPOや公益法人は学ぶことが多くあります。

 ひとつは、このような場合の駆け込み寺(いわゆるセーフティネット)を社会に作ることです。具体的には、労働組合(または個人加盟のユニオン)に駆け込むのが一番正しい選択だと筆者も思います。会社とできる限り対等な立場で交渉することで、不正をやめさせ、会社存続のための方策を見出せた可能性があります。要は、このような駆け込み寺へ促すような仕組みが作れないものかと思います。

 ミートホープで言えば、解雇された従業員だけでなく、その家族にまで深い傷を落とすことになります。多くの人の人生や、生活がかかっていますので、このような不正を正す社会をいかに形成してゆくか、非営利組織にとって大きな課題と言えるでしょう。

 もうひとつは、NPOや公益法人にこのような問題が起こった場合に、どうするかということです。

 基本的に所有者のいないNPOや公益法人では起こりにくい問題ですが、組織である以上は、いつなんどきこのような問題を抱えるかわかりません。

 繰り返しますが、一人の力ではどうにもできません(筆者も似たような経験がありますが、あまりにも危険です)ので、どれだけ早く結集できるかにかかっています。

 ただ、NPOや公益法人の場合、従業員が一人か二人といった法人も数多くありますから、駆け込む先はユニオンになるでしょう。

 私の記憶では、「学会事務センター」問題というのが記憶にあります。4~5年くらい前でしょうか、これは学会運営の受託事業を行っていた財団法人ですが、各学会から学会運営を行うために集めた預かり金を、財団の運営経費に充ててしまい(遊行費にまで使ってしまったかどうかは記憶が定かではありません)、多額の学会運営のための資金が流用されてしまったというものです。この財団は速やかに設立許可が取り消され、残余財産を返還後、消滅してしまいました。

 この問題も、当然事務局の人たちには分かっていたでしょうから、早く結集し、対策を講じていれば、財政上の問題だけですから、存続の可能性はミートホープなどよりもよほど高かったと考えられます。

 社会貢献や公共の利益を目的とするNPOや公益法人に同じような問題が起きたら、これは目も当てられません。もし問題が起きたときには、ミートホープの従業員のように感覚が麻痺する前に、結集できることを祈ります。

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2007年7月 2日 (月)

事業目的と目的事業

 前回、前々回と、公益法人、NPO法人をはじめとする非営利組織の行う事業の概念と、会計の区分の問題についてふれました。

 今回は、これに関連して、もう一点、触れておきたいことがあるので書かせていただきます。

 非常に細かいことで、大変恐縮ですが、筆者はどうしてもこの点明確にして使い分けて欲しいと思うのであります。

 タイトルにある、「事業目的」と「目的事業」という二つの言葉ですが、これを混同して使われていることがしばしばあります。

 この二つの言葉は同義ではなく、まさに見たとおり、前者は「目的」、つまり事業活動を行うことによって果たすべき目的、社会にもたらす効果のことを指すのであり、後者は「事業」、つまり法人がその目的を果たすために行う具体的な手段である事業のことを指します。

 定款(現行の財団法人では寄附行為)に置き換えて言うと、「事業目的」とは第3条の「目的」に該当し、「目的事業」は第4条の「事業」に該当するものです。

 しかしながら、私の経験上、この「事業目的」と「目的事業」の意味を混同して使用している方が非常に多くいらっしゃいます。

 「そんなこと、別にどっちだっていいじゃないか。」

 といった声が、聞こえてくるようです。

 確かに、どっちだっていいと言えば、まあ、意味さえ通じればいいのかも知れません。

 どっちだって、まあどっちかのことを指しているんだろうとか、前後の文脈から判断できるんじゃないのと言われれば、そうかも知れません。

 しかし、筆者は混同して使用されるたびにすごく気になりますし、一般の方ならまだしも関係者が混同して使用しているのを見聞きするたびに恥ずかしく感じてしまうのです。

 この二つの言葉は非営利組織の特長を表していると思いますし、この「事業目的」と「目的事業」とう用語を正しく使い分けることは非営利組織に関わる者が一般の方々に理解を求める際に非常に重要な要素であると思うのです。

 ただ人の考え方にはいろいろあるので、「おお、そうか」という人もいれば、「そんな細かいこと、どっちでもいいよ」という人もいるかも知れません。

 でもどうしても、この二つの言葉(用語)は非営利組織に関わる者としてこだわりたいことなので、今回この場をお借りして触れさせていただきました。

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