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2007年6月11日 (月)

コムスンについてひと言 ―退場すべきは折口会長をはじめとする経営陣です―

 非営利組織に関わり、造詣のある人間にとって、どうしても今回のコムスンの問題については黙っていることができなかったので、一言申し上げさせていただきます。

 コムスンの不正は、今に始まったことではないことは、皆さんご承知のことと思います。

 今さらのように、折口雅博会長がテレビに出まくって弁解を繰り返していますが、決して騙されてはいけません。

 今までさんざん記者会見を拒否し続け、事ここに及んでやっと行った記者会見で「私が続けないと社会的な使命を果たすことが難しくなる。チャンスをください。」というようなことを喋っていましたが、コムスンは折口会長によってグッドウィルグループの傘下に入った時から、社会的な使命を果たすのが難しくなったのだと思いますし、今まで充分すぎるほどチャンスは与えられてきたと思います。

 もう既に、答えは出ていると私は思います。

 過去に不正があり行政指導を受けた場に折口会長も同席していたことが以前報道されていましたし、8日の記者会見でもコムスンの樋口社長から行政処分を受けそうになった事業所について廃業届けを出して対応する旨の報告を受けていたと言っていました。テレビでは「知らなかった」などど言っていますが、そんなことは決してないでしょうし、万が一、いや億が一にももし知らなかったとしたら、経営者として失格であることは言うまでもありません。

 最初に不正が発覚したときに(発覚する前に不正を把握して対処するのが普通だと思うのですが)、関係者の処分など組織として厳正な対応をとっていれば、こんなことにはならなかったはずです。しかし、そのような厳正な対応をとったことはほとんど伝わっていません。おそらく内部的にはほとんどそのままほったらかしだったのでしょう。

 それはさておき、私が今回申し上げたいのは、今後のことであります。

 折口会長の詭弁は、あくまでも自らを擁護するための詭弁ではありますが、事実でもあります。

 すなわち、何の罪もない、何万人と言われる介護されるお年寄りの方と、労働者の雇用を如何に守ってゆくかです。

 ぜひとも、NPOをはじめ、公益法人、社会福祉法人など非営利組織の方々には、この度の社会混乱を解決するために、立ち上がっていただきたいのです。

 過去、コムスンだけにではないと思いますが、圧倒的な資本力、規模の力に押されて、何度となく煮え湯を飲まされ、場合によっては存続が危ぶまれた非営利団体もあったかも知れません。しかし、そういう組織の方々には、過去のことはとりあえず矛を収めて、何とか、何の罪もないお年寄りとコムスンの介護労働者の受け皿に可能な限りなっていただけないでしょうか。

 度重なる不正を繰り返し、国民の税金と、お年寄りと、とてつもない低賃金で働いてきた介護労働者の善意をさんざん食い物にしてきたコムスンの経営者を、もう、この介護業界に存続させてはいけないと思います。

 グループ外への譲渡は当然のことです。しかも、一定の経営層は譲渡すべきでなく、この業界に残ることはもう許されないと思います。

 例えば普通の会社であれば、入社した社員が能力がなく、何度やらせても仕事ができなければ、会社を辞めさせられます。コムスンも基本的にはそれと同じだと思うのです。

 つまり、コムスンの経営陣は何度となく行政指導を受けながら、不正を繰り返してきました。しかも、指導だけではなく処分を受けそうになると、その処分から逃れるということを、幾度となく繰り返してきたのです。介護事業をきちんと行うことができなかったのです。

 言い方を換えれば、隠れている犯罪者が捕まりそうになるたびに、隠れ家から逃げ出していく、ということを、コムスンは繰り返してきたのです。コムスンの行為の本質は、非常に悪質極まりないものです。

 ただし、前述のとおり、お年寄りや、会社を支えてきた労働者には、何の罪もありません。この方たちは、何としても、社会で守ってゆかなくてはなりません。

 また、コムスンの問題は、介護事業というものについて、私たちにいくつかの問題を提起しています。

 その一つは、介護保険事業の構造の問題であり、介護労働者のやりがい、生きがいと生活の問題です。

 ちょうど今朝のテレビで、折口会長は、「コムスンは赤字経営で福祉事業を行っています」という趣旨のことを述べていました。これももちろん詭弁ですが、しかしこれは介護保険事業というものに問題を投げかけてもいます。

 つまり、介護保険事業は福祉事業であり、国民の税金が使われているので、もともと、そんなに利益が上がるような構造ではありません。もしかしたら、採算の取れている介護保険事業者のほうが少ないかもしれません。

 換言すれば、よっぽど不正でもしなければ、利益が上がってこない事業構造であるとも言うことができます。

 次に、採算が取れるようになっているとしても、そこで汗水を流し、命を削って働いている介護労働者が犠牲になっていることがしばしばあります。

 採算を取るために、労働者の賃金が非常に低く抑えられているのが介護保険事業の世界です。特に、移動に時間がかかる地方にいけばいくほど、深刻な問題でしょう。

 介護保険では、あくまでも介護した時間に対して報酬が支払われ、移動にかかった時間に対しては報酬は支払われず、何の手当もありません。しかも介護報酬の全額が労働者に入るのではなく、当然その中から経営者の報酬や、組織や施設の維持運営に必要な費用は差し引かれますし、労働者への報酬は、経営者が自由に決められます。したがって、一概には言えないかも知れませんが、ごく普通に、一日フルタイムで介護をして回って仕事をしても、1ヶ月の給料が10万~15万円ほどの人が、かなり多いのではないでしょうか。

 1ヶ月フル稼働して、10万~15万円ほどのお給料。しかも介護労働は、かなりの肉体労働であるだけでなく、単純労働ではなく、医療や栄養管理など、かなり高度な知識を必要とする作業も多い労働です。

 介護労働は、お年寄りを助け、高齢社会に貢献する、大変やりがいと生きがいのある仕事だと思います。しかし、介護労働に携わるために一生懸命勉強して、資格もとったりして、汗水流してフル稼働で働いて、1ヶ月の給料が10万~15万円。これでは、最初はいいかも知れませんが、すぐに疲れてしまいます。体だけでなく、やがては心も……

 さすがに行政も見かねて、介護報酬の見直しも行われていますが、まだ、スズメの涙ほどのものでしかありませんし、労働者に回ってくるほどでは、ありません。しかも、昨年春の改正では、財政難のため、介護報酬が切り下げられてしまいました。

 かといって、介護保険料を増額するのも、限界があります。

 国は、福祉目的のためと言って、消費税を増税すると言っていますが、否、まずは税金の無駄遣いを徹底して止めて、余っている特定財源の税金を減税するのか、使い道を換えるのかはっきりさせたりと、その前にやるべきことはいっぱいあるはずです。

 介護保険制度も、既に、先人の無数の屍の上に成り立っている制度でありますが、できることなら、これ以上、多くの人の血が流れるのは見たくありません。早く、より健全な制度になって欲しいと思います。

 介護保険事業は、社会福祉事業であり、立派な公益事業であります。公益法人やNPO、社会福祉法人といった非営利組織には、ぜひ中心的な事業主体であって欲しいと思います。しかし、それと同時に、非営利であるがゆえに、社会貢献として、さらに介護保険制度というものを、常に見直し、よりよい制度に創り上げてゆく使命もあるのだと思います。今まで、大変苦労されてきているとは思いますが、まだ現実は、非常に厳しい状態だと思います。

 一方、営利企業であっても、業界のトップクラスともなれば、その業界を引っ張ってゆかなければならないし、実際社会ではどの業界でもそうしていると思うのですが、コムスンは、介護事業のトップ企業でありながら、業界のリーダーシップをとるような行動はほとんど見聞きしたことがありません。きれいごとばかりならべて、介護事業がいかなるものか、どうあるべきかといったことに対してはほとんど無知、不勉強極まりない経営者に私には写るのですが、皆さんいかがでしょう。

 おそらく折口会長は弁解をし続けると思いますが、もう耳を傾ける必要はないと私は思います。折口会長の弁解を聞くよりも、介護を必要とする多くの人たちと、真面目に汗水流して働いてきた多くの介護労働者の人たちを、如何に受け入れて守って行くべきか、一日も早く考えて、実践していきましょう。

 

 

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