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2007年6月の記事

2007年6月25日 (月)

NPO、公益法人の事業概念と会計の区分

 前回、公益法人、NPO法人といった非営利組織には、その行う事業について、法人制度上の本来目的(社会貢献または公益)事業と収益事業、そして税制上の収益事業と非収益事業という事業概念が存在することを述べました。

 今回は、これらの事業概念と非営利組織の会計、経理との関係について触れたいと思います。

 NPOや公益法人には事業概念がいくつか存在するために、本来の目的事業と収益事業を行っている場合、その会計は、非常に悩ましいものとなってしまいます。

 実際に法人が行う事業が、法人制度上と法人税法上の事業概念と一致することもありますが、一致しない場合もしばしばあります。つまり、

 ・ 本来の目的(社会貢献または公益)事業は原則として非課税だが、場合によっては課税されることがある

 ・ 収益事業は課税されるが、場合によっては課税されないこともある

のです。

 ところで、NPOや公益法人の会計については、以下のような規定があります。

 法人税法では、収益事業と収益事業以外の事業の経理を区分して行わなければならないことになっています(法人税法施行令6条)。

 NPO法では、本来目的事業(法律では「特定非営利活動に係る事業」といいます)のほかに収益事業(法律では「その他の事業」といいます)を行っている場合、これを特別の会計として経理しなければなりません(特定非営利活動促進法5条2項)。

 公益法人(社団・財団法人)では、現行、民法や指導監督基準では触れていませんが、公益法人会計基準において、必要に応じて特別会計を設けることができることになっています。新法においては、収益事業を特別の会計として経理しなければならないことが規定されています(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律19条)。

 これは企業会計に置き換えると、おそらくセグメント情報のようなものと考えられますが、したがって法人が本来事業と収益事業を行っていて、それぞれが法人制度上と法人税法上の事業概念と一致しないとき、どのように会計を区分し、または区分経理するかということが、大問題になるとともに、このために負担する事務量は、半端なものではありません。

 現実には、とりあえず期中は法人制度上の本来事業と収益事業とで会計を区分し、法人税の申告をする際に課税所得を構成する収益および費用を抜き出して区分する方法が多いのかも知れませんが、逆の方法で行ったり、期中から通常の会計処理のほかに、法人税用の会計処理も併せて行ったりと、各法人ごとにいろいろ工夫しているようです。

 さらに、法人の存在そのものに関わってくるため、共通する経費を按分計算してそれぞれの会計に適正に配賦するという手続きもしなければなりません。

 場合によっては、このほかに、NPO会計や公益法人会計が理解できない人が多い法人では、総会や理事会用に企業会計に置き換えた決算書を更に作成している法人もあるようです。

 いずれにしても、中小企業ではあり得ない、これだけの処理を行うことは、決して容易ではありません。このような苦労を、NPOや公益法人は影でしているんだということだけは、分かっていただきたいと思います。

 

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2007年6月18日 (月)

本来の目的(社会貢献、公益)事業、収益事業、非収益事業・・・・・・

 ややこしいことに、公益法人やNPO法人などの非営利組織には、タイトルのようにいくつかの事業についての概念が存在します。

 これを正しく理解することは、非営利組織を理解するための大きな一助となります。

 一般的にNPO法人や公益法人などの非営利法人は、社会貢献または公益目的で設立され、その掲げた社会貢献または公益目的を実現するために、活動を行います。

 それらは非営利活動とか、公益活動、社会貢献活動といった言い方をされますが、一方でそれらの活動は必ず経済的実質を有することから、非営利(または公益)といえども、事業という捉え方もされます。営利事業、非営利事業、公益事業、社会貢献事業、といった言い方をします。

 公益法人やNPO法人といった非営利組織にとっては、公益事業や社会貢献事業を行うことが本来の目的ですが、営利事業とはその資金調達手段(あるいは資金循環)の性質が異なることから、本来の目的事業から得られる収益だけでは、その事業活動に伴う費用を賄いきれないことがしばしばあります。場合によっては本来の目的事業からは収益がほとんどない場合があります。

 そのため、非営利組織は、その活動資金を、寄付、会費、補助金・助成金などの形で得るわけですが、これらのほかに、本来の目的事業に充てるための資金を獲得するために、独自に収益を得るための事業(「収益事業」または本来の目的事業に対して「その他の事業」という言い方もします)を行うことがあります。これは法人制度上も認められているところであります。

 ところで、わが国では国民や法人は納税義務を負い、個人の場合は所得税法、法人の場合は法人税法に基づいて毎年得た収益から課税所得を計算し、税金を納めるわけですが、NPO法人や公益法人といった非営利法人(組織)のうち、法人税法の別表に掲げられたものは原則として法人税が課税されないことになっています(NPO法人は法人税法上ではなく、NPO法上に非課税の規定があります)。

 しかしながら、収益事業を行う非営利組織が多いこと、営利法人の算入により競合が増えてきたことなどから、営利法人との課税の公平性を保つために、一定の収益事業を行っている場合には、法人税が課税されることになっており、課税対象となる収益事業は、現在33業種が法人税法で定められています。

 この法人税が課税される収益事業は、あくまでも課税の公平性の観点から定められたものであって、非営利組織が本来の目的とするところの事業であるかどうかはあまり関係がありません。

 したがって、NPOや公益法人が本来の公益あるいは社会貢献活動として行っている事業でも、法人税法上の収益事業に該当する場合もありますし、逆に、課税対象となる収益事業として掲げられた33業種に該当しなければ、例え収益事業として行っている事業でも、非収益事業として課税されないという、非常にややこしいことになっています。

 言い換えますと、非営利法人が行う事業には、

 ・ 法人制度上の本来目的事業と収益事業

 ・ 法人税法上の収益事業と非収益事業

が存在します。さらに言えば、

 ・ 本来の目的(社会貢献または公益)事業は原則として非課税だが、場合によっては課税されることがある

 ・ 収益事業は課税されるが、場合によっては課税されないこともある

ということになります。

 つまり、非営利組織においては、法人制度上の事業概念と、法人税法上の事業概念が存在することを理解することが、非常に重要になってきます。

 ただ、わかってしまえば、私と同じように当たり前のことのように考えることができますので、まあこれは、慣れの問題かも知れません。

 これ以上書くととてつもなく長くなりそうなので今回はこの辺にしておきますが、この非営利組織における事業概念は、非営利組織に関わっていると度々ぶつかることになりますので、もしこの文章を読んで難しく感じたとしたら(私の文章力の問題でもありますが・・・)、最低まあこんなことがあるという程度でも、覚えておいてください。

 

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2007年6月11日 (月)

コムスンについてひと言 ―退場すべきは折口会長をはじめとする経営陣です―

 非営利組織に関わり、造詣のある人間にとって、どうしても今回のコムスンの問題については黙っていることができなかったので、一言申し上げさせていただきます。

 コムスンの不正は、今に始まったことではないことは、皆さんご承知のことと思います。

 今さらのように、折口雅博会長がテレビに出まくって弁解を繰り返していますが、決して騙されてはいけません。

 今までさんざん記者会見を拒否し続け、事ここに及んでやっと行った記者会見で「私が続けないと社会的な使命を果たすことが難しくなる。チャンスをください。」というようなことを喋っていましたが、コムスンは折口会長によってグッドウィルグループの傘下に入った時から、社会的な使命を果たすのが難しくなったのだと思いますし、今まで充分すぎるほどチャンスは与えられてきたと思います。

 もう既に、答えは出ていると私は思います。

 過去に不正があり行政指導を受けた場に折口会長も同席していたことが以前報道されていましたし、8日の記者会見でもコムスンの樋口社長から行政処分を受けそうになった事業所について廃業届けを出して対応する旨の報告を受けていたと言っていました。テレビでは「知らなかった」などど言っていますが、そんなことは決してないでしょうし、万が一、いや億が一にももし知らなかったとしたら、経営者として失格であることは言うまでもありません。

 最初に不正が発覚したときに(発覚する前に不正を把握して対処するのが普通だと思うのですが)、関係者の処分など組織として厳正な対応をとっていれば、こんなことにはならなかったはずです。しかし、そのような厳正な対応をとったことはほとんど伝わっていません。おそらく内部的にはほとんどそのままほったらかしだったのでしょう。

 それはさておき、私が今回申し上げたいのは、今後のことであります。

 折口会長の詭弁は、あくまでも自らを擁護するための詭弁ではありますが、事実でもあります。

 すなわち、何の罪もない、何万人と言われる介護されるお年寄りの方と、労働者の雇用を如何に守ってゆくかです。

 ぜひとも、NPOをはじめ、公益法人、社会福祉法人など非営利組織の方々には、この度の社会混乱を解決するために、立ち上がっていただきたいのです。

 過去、コムスンだけにではないと思いますが、圧倒的な資本力、規模の力に押されて、何度となく煮え湯を飲まされ、場合によっては存続が危ぶまれた非営利団体もあったかも知れません。しかし、そういう組織の方々には、過去のことはとりあえず矛を収めて、何とか、何の罪もないお年寄りとコムスンの介護労働者の受け皿に可能な限りなっていただけないでしょうか。

 度重なる不正を繰り返し、国民の税金と、お年寄りと、とてつもない低賃金で働いてきた介護労働者の善意をさんざん食い物にしてきたコムスンの経営者を、もう、この介護業界に存続させてはいけないと思います。

 グループ外への譲渡は当然のことです。しかも、一定の経営層は譲渡すべきでなく、この業界に残ることはもう許されないと思います。

 例えば普通の会社であれば、入社した社員が能力がなく、何度やらせても仕事ができなければ、会社を辞めさせられます。コムスンも基本的にはそれと同じだと思うのです。

 つまり、コムスンの経営陣は何度となく行政指導を受けながら、不正を繰り返してきました。しかも、指導だけではなく処分を受けそうになると、その処分から逃れるということを、幾度となく繰り返してきたのです。介護事業をきちんと行うことができなかったのです。

 言い方を換えれば、隠れている犯罪者が捕まりそうになるたびに、隠れ家から逃げ出していく、ということを、コムスンは繰り返してきたのです。コムスンの行為の本質は、非常に悪質極まりないものです。

 ただし、前述のとおり、お年寄りや、会社を支えてきた労働者には、何の罪もありません。この方たちは、何としても、社会で守ってゆかなくてはなりません。

 また、コムスンの問題は、介護事業というものについて、私たちにいくつかの問題を提起しています。

 その一つは、介護保険事業の構造の問題であり、介護労働者のやりがい、生きがいと生活の問題です。

 ちょうど今朝のテレビで、折口会長は、「コムスンは赤字経営で福祉事業を行っています」という趣旨のことを述べていました。これももちろん詭弁ですが、しかしこれは介護保険事業というものに問題を投げかけてもいます。

 つまり、介護保険事業は福祉事業であり、国民の税金が使われているので、もともと、そんなに利益が上がるような構造ではありません。もしかしたら、採算の取れている介護保険事業者のほうが少ないかもしれません。

 換言すれば、よっぽど不正でもしなければ、利益が上がってこない事業構造であるとも言うことができます。

 次に、採算が取れるようになっているとしても、そこで汗水を流し、命を削って働いている介護労働者が犠牲になっていることがしばしばあります。

 採算を取るために、労働者の賃金が非常に低く抑えられているのが介護保険事業の世界です。特に、移動に時間がかかる地方にいけばいくほど、深刻な問題でしょう。

 介護保険では、あくまでも介護した時間に対して報酬が支払われ、移動にかかった時間に対しては報酬は支払われず、何の手当もありません。しかも介護報酬の全額が労働者に入るのではなく、当然その中から経営者の報酬や、組織や施設の維持運営に必要な費用は差し引かれますし、労働者への報酬は、経営者が自由に決められます。したがって、一概には言えないかも知れませんが、ごく普通に、一日フルタイムで介護をして回って仕事をしても、1ヶ月の給料が10万~15万円ほどの人が、かなり多いのではないでしょうか。

 1ヶ月フル稼働して、10万~15万円ほどのお給料。しかも介護労働は、かなりの肉体労働であるだけでなく、単純労働ではなく、医療や栄養管理など、かなり高度な知識を必要とする作業も多い労働です。

 介護労働は、お年寄りを助け、高齢社会に貢献する、大変やりがいと生きがいのある仕事だと思います。しかし、介護労働に携わるために一生懸命勉強して、資格もとったりして、汗水流してフル稼働で働いて、1ヶ月の給料が10万~15万円。これでは、最初はいいかも知れませんが、すぐに疲れてしまいます。体だけでなく、やがては心も……

 さすがに行政も見かねて、介護報酬の見直しも行われていますが、まだ、スズメの涙ほどのものでしかありませんし、労働者に回ってくるほどでは、ありません。しかも、昨年春の改正では、財政難のため、介護報酬が切り下げられてしまいました。

 かといって、介護保険料を増額するのも、限界があります。

 国は、福祉目的のためと言って、消費税を増税すると言っていますが、否、まずは税金の無駄遣いを徹底して止めて、余っている特定財源の税金を減税するのか、使い道を換えるのかはっきりさせたりと、その前にやるべきことはいっぱいあるはずです。

 介護保険制度も、既に、先人の無数の屍の上に成り立っている制度でありますが、できることなら、これ以上、多くの人の血が流れるのは見たくありません。早く、より健全な制度になって欲しいと思います。

 介護保険事業は、社会福祉事業であり、立派な公益事業であります。公益法人やNPO、社会福祉法人といった非営利組織には、ぜひ中心的な事業主体であって欲しいと思います。しかし、それと同時に、非営利であるがゆえに、社会貢献として、さらに介護保険制度というものを、常に見直し、よりよい制度に創り上げてゆく使命もあるのだと思います。今まで、大変苦労されてきているとは思いますが、まだ現実は、非常に厳しい状態だと思います。

 一方、営利企業であっても、業界のトップクラスともなれば、その業界を引っ張ってゆかなければならないし、実際社会ではどの業界でもそうしていると思うのですが、コムスンは、介護事業のトップ企業でありながら、業界のリーダーシップをとるような行動はほとんど見聞きしたことがありません。きれいごとばかりならべて、介護事業がいかなるものか、どうあるべきかといったことに対してはほとんど無知、不勉強極まりない経営者に私には写るのですが、皆さんいかがでしょう。

 おそらく折口会長は弁解をし続けると思いますが、もう耳を傾ける必要はないと私は思います。折口会長の弁解を聞くよりも、介護を必要とする多くの人たちと、真面目に汗水流して働いてきた多くの介護労働者の人たちを、如何に受け入れて守って行くべきか、一日も早く考えて、実践していきましょう。

 

 

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