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2007年4月の記事

2007年4月23日 (月)

収支計算書とはいかなるものぞ

 初めて公益法人会計に触れたとき、まず筆者の頭を悩ませたのが、収支計算書の存在でした。はて、これは一体・・・??

 企業会計は、基本的に貸借対照表と損益計算書によって成り立ちます。公益法人会計でも、貸借対照表は貸借対照表です。「正味財産増減計算書」は初めて耳にしましたが、これは言ってみれば企業会計の損益計算書に相当するものだろう。

 厄介だったのは、収支計算書と、貸借対照表および正味財産増減計算書が、仕訳によって互いに連関していたこと、連関させるために、「一取引二仕訳」(「切返し仕訳」「交差取引」という学者もいます)という手法が行われていることでした。そして、正味財産増減計算書がストック式とフロー式の2通りあり、それぞれ収支計算書との関係が異なっていたことと、法人によって、収支計算書の計上範囲に幅があるということによって、さらに私は深みに嵌ってゆくのでした。

 収支計算書は、その名の通り、収入と支出、つまりお金、資金の出入りを計上するものです。

 私が簿記を勉強し、企業で実務経験を積んでいた頃は、まだ会計ビックバンの前でしたし、中小企業だったので、キャッシュ・フロー計算書のことはあまり知りませんでした。公益法人会計の収支計算書は、お金の出入りを計上するものなので、現金出納帳や、このキャッシュ・フロー計算書に相当するものなのです。しかし、家族を守り養っていくために一刻も早く公益法人会計を理解しなければいけない状態だったので、行き帰りの電車の中はもちろん、寝る間も惜しんで本を読み漁ってやっと理解できたことは、簿記2級の知識と企業会計の実務経験しかない私にとっては、衝撃的なことでした。

 キャッシュ・フロー計算書や現金出納帳などは、その計上範囲を「現金」および「現金等価物」または「現金同等物」に限定しています。したがって、単純にその会計期間の現金の出入りを計上します。

 これに対し、収支計算書は、単に現金の出納だけではなく、そこに期間計算の観点を取り入れ、発生主義により計上することが認められており、一般的に行われていました。例えば、3月が決算で、3月分の電気代が4月に引き落とされるとすると、キャッシュ・フロー計算書や預金出納長には計上されませんが、収支計算書においては、3月分の費用であれば収支計算書に計上し、そして前払金についてはキャッシュ・フロー計算書や現金出納帳には計上されますが、収支計算書には計上しないという、発生主義による期間計算を行っていました。

 そして、どこまでをお金(資金)として扱うか、つまり、前払金や未払金、短期の貸付金や借入金、流動資産に含まれる有価証券をお金(資金)として扱うかどうかは、法人ごとに活動実態がさまざまであるという理由で、各法人が自由に決めてよい(当然資金の範囲を注記で明らかにすることになっています)ということになっていました。

 これは今も、基本的な考え方には変わりがありません。

 あんまり長くなってしまうと何なんで、筆者の頭を悩ませたもうひとつの事柄、収支計算書と、貸借対照表および正味財産計算書との連関(一取引二仕訳)については次回に繰り越します。ごめんなさい。今回はこのへんで・・・

 

 

 

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2007年4月 9日 (月)

公益法人とNPOの世界へようこそ

 先日、家族で秩父のほうまでいちご狩りに行ってきました。東京では桜はだいぶ散ってしまっていましたが、秩父のほうでは5分~7分咲きくらいでした。おそらく今頃、満開になっているのでしょうか。

 桜の花びらが舞うころは、人それぞれに、別れや、新たな出会いが訪れます。

 見事な花を咲かせた桜の華やかな雰囲気に人は酔い、何とも言えない開放感に身を包まれ、希望に満ち溢れます。

 若かりしころの甘美な想いが胸を駆け巡ることが多いのも、この季節です。

 この春から、公益法人や、NPOの世界に身を置くことになった人たちも多いことでしょう。

 新卒の人、転職してきた人、役員や幹部職員として出向・転籍や派遣されてきた人、公務員になって公益法人やNPOの担当部署に配属された人・・・。

 中には、「公益法人って何?」「NPOって?」と疑問符を付けながら、次元の異なる世界で自らのアイデンティティを懸けて活動する人たちがいることを初めて知った人もいるかも知れません。

 ともあれ、この世界に入ってきた人たちに、敬意を表します。

 今回は、新しくこの世界に入ってこられた方のために、公益法人とNPOの現状について、おさらいしておきます。

 公益法人(民法34条の規定により設立された社団法人・財団法人)とNPO法人(特定非営利活動法人)は、21世紀を迎えて今、ともに変革の真っ只中にあります。

 公益法人は、現行の主務官庁の自由裁量による設立の許可制によって生じた弊害の排除、活発な民間非営利活動を促進する観点から、1896年の民法制定以来110年以上も抜本的な改革がなされなかった法制度がやっと見直され、新しい法律が昨年5月に成立、6月に公布されています。新たな法律は部分的に施行され、全面的に施行されるのは平成20年12月ごろの予定になっています。

 主務官庁制と許可制は廃止され、準則主義により設立される一般社団法人および一般財団法人の中から、現行の公益法人に対する指導監督基準の内容がふんだんに盛り込まれた公益性の認定要件をクリアした法人が、公益社団法人・公益財団法人(現行の公益法人と同じ効果が得られる)になれる仕組みとなりました。

 現在存在する公益法人に関しては、平成20年12月の法律の全面施行の後、5年間の移行期間中に、新たな制度の下で公益法人または一般法人のどちらかに移行するか、または解散することになります。

 また、昨年4月から先行して新たな公益法人会計基準が適用になっていて、新会計基準適用後最初の決算を迎えています。法人によっては、事情があって今年度以降に新しい会計基準を適用することにしていて、まだ旧会計基準に拠っている法人もあります。公益法人の会計制度は、企業会計の思考法にだいぶ近づき、今までの収支計算から、正味財産増減計算(いわゆる損益計算に近い思考法)が主柱の会計システムへと大転換が図られました。しかしむしろ、一般の人には、新しい会計基準のほうがわかりやすいかも知れません。今まで公益法人会計に慣れ親しんできた人には、ご苦労があるようです。

 一方NPO法人については、1998年の制定、施行以来8年を過ぎて9年目に突入、法人数も3万を越しており、制度草創期の混乱から徐々に抜け出しつつある感がありますが、それとともに制度の悪用、脆弱な財政基盤の強化など、様々な問題も浮き彫りになっていて、現在、内閣府内に設置された「NPO法人制度検討委員会」において、法制度の見直しに向けた作業が継続しています。NPO法人制度検討委員会は一昨年の秋に活動を開始し、今年の秋に区切りを付けて報告書を提出することになっていて、報告書の策定に向けて、今後動きが活発になってくるのではないかと思います。

 また、NPO法人には現在、会計基準というものがありません。法律にあるわずかな規定と、内閣府が作成した運営の手引きを頼りに、基本的には各法人の裁量により自由に作成されているのが実態です。これがわかりずらい、法人間で比較できないといった批判が多く寄せられており、NPO法人制度検討委員会において、この点も併せて検討されています。いずれ近いうちに、何らかの会計基準は設定されるものと思われます。

 そして、NPO法人と公益法人は、将来的に統合されるのか否か、というまさに根本命題に、これから取り掛かることになっていくでしょう。

 何はともあれ、あなた方は公益法人、そしてNPO法人の社会的信用と、いわば公共財ともいうべき善意によって負託された有形無形の財産を、これから背負ってゆくことになります。

 あなた方の使命は、これから次々に起こる問題や、急速に変容を遂げている21世紀社会に柔軟に対応しながら、背負うこととなったこの財産を、時代の担い手として社会のために有効に活用し、その上に新たな財産を積み上げて、次の世代へと繋げてゆくことに他なりません。

 このブログでは、主に法律、会計、税制といった諸制度の観点から、公益法人とNPOの問題を考えています(と言いながら、実際にはまだあまりそのような文章を書いていません。今後いろいろと触れていきたいと思います)。

 公益法人、そしてNPO法人とは、如何なるもので、何処から来て、何処へ向かおうとしているのでしょうか。

 これから共に探求し、共に展望を切り開いてゆきましょう。

 

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