収支計算書とはいかなるものぞ
初めて公益法人会計に触れたとき、まず筆者の頭を悩ませたのが、収支計算書の存在でした。はて、これは一体・・・??
企業会計は、基本的に貸借対照表と損益計算書によって成り立ちます。公益法人会計でも、貸借対照表は貸借対照表です。「正味財産増減計算書」は初めて耳にしましたが、これは言ってみれば企業会計の損益計算書に相当するものだろう。
厄介だったのは、収支計算書と、貸借対照表および正味財産増減計算書が、仕訳によって互いに連関していたこと、連関させるために、「一取引二仕訳」(「切返し仕訳」「交差取引」という学者もいます)という手法が行われていることでした。そして、正味財産増減計算書がストック式とフロー式の2通りあり、それぞれ収支計算書との関係が異なっていたことと、法人によって、収支計算書の計上範囲に幅があるということによって、さらに私は深みに嵌ってゆくのでした。
収支計算書は、その名の通り、収入と支出、つまりお金、資金の出入りを計上するものです。
私が簿記を勉強し、企業で実務経験を積んでいた頃は、まだ会計ビックバンの前でしたし、中小企業だったので、キャッシュ・フロー計算書のことはあまり知りませんでした。公益法人会計の収支計算書は、お金の出入りを計上するものなので、現金出納帳や、このキャッシュ・フロー計算書に相当するものなのです。しかし、家族を守り養っていくために一刻も早く公益法人会計を理解しなければいけない状態だったので、行き帰りの電車の中はもちろん、寝る間も惜しんで本を読み漁ってやっと理解できたことは、簿記2級の知識と企業会計の実務経験しかない私にとっては、衝撃的なことでした。
キャッシュ・フロー計算書や現金出納帳などは、その計上範囲を「現金」および「現金等価物」または「現金同等物」に限定しています。したがって、単純にその会計期間の現金の出入りを計上します。
これに対し、収支計算書は、単に現金の出納だけではなく、そこに期間計算の観点を取り入れ、発生主義により計上することが認められており、一般的に行われていました。例えば、3月が決算で、3月分の電気代が4月に引き落とされるとすると、キャッシュ・フロー計算書や預金出納長には計上されませんが、収支計算書においては、3月分の費用であれば収支計算書に計上し、そして前払金についてはキャッシュ・フロー計算書や現金出納帳には計上されますが、収支計算書には計上しないという、発生主義による期間計算を行っていました。
そして、どこまでをお金(資金)として扱うか、つまり、前払金や未払金、短期の貸付金や借入金、流動資産に含まれる有価証券をお金(資金)として扱うかどうかは、法人ごとに活動実態がさまざまであるという理由で、各法人が自由に決めてよい(当然資金の範囲を注記で明らかにすることになっています)ということになっていました。
これは今も、基本的な考え方には変わりがありません。
あんまり長くなってしまうと何なんで、筆者の頭を悩ませたもうひとつの事柄、収支計算書と、貸借対照表および正味財産計算書との連関(一取引二仕訳)については次回に繰り越します。ごめんなさい。今回はこのへんで・・・
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