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2007年3月の記事

2007年3月27日 (火)

3万を超えたNPO法人に寄せて

 特定非営利活動法人(いわゆるNPO法人)の数が3万を突破しました。

 いや、正確に言うと、3万を超えたのは、所轄庁によってNPO法人の設立認証をされた数であって、存在するNPO法人の数ではありません。

 1月31日までの全国の累計で、設立申請の受理件数32,050、認証数30,257、不認証数338、解散数1,052(うち認証を取り消されたもの81)という数字です。単純計算すると、おそらく認証数から解散数を差し引いた29,205が、一応存在するNPO法人の数ということになるでしょうか。

 設立の根拠となる特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)の、1998(平成10)年12月の施行から、丸8年と2ヶ月、毎月約300件(29,205÷98ヶ月)という、驚異的なペースでNPO法人の数は増加してきたことになります。

 4年ほど前の2003年の同じ時期に、NPO法人の数が1万を超えたときは、月に約200件弱の増加ペースでした。その後、増加のペースはいっそう加速度を増しているということが言えるでしょう。

 NPO法人の数が1万を超えたときに、筆者は編集していた公益法人向けの雑誌に「1万を超えたNPO法人に寄せて」と題したコラムを執筆しましたが、NPO法人を取り巻く状況は、残念ながら(でもないですが)その時とそれほど大きくは変わっていないのではないかとも思われます。今回はその辺をなぞりながら、NPOへ寄せる思いを述べたいと思います。

 NPO法人の数は、110年前に発足した公益法人(社団法人・財団法人)、第二次大戦後に発足した社会福祉法人の数を、わずか8年ほどであっさりと追い抜いてしまいました。驚異的なペースで増加してきたことは、NPOの果たす社会的役割に対する期待が急速に高まり、今やわが国の新たな社会の担い手としての地位がすでに確立していることを示すものに他なりません。

 しかし一方で、NPO法人への期待・人気が高まるにつれて、問題点も次々に明るみになってきました。

 2003年のころは、学生や、転職を希望する社会人の間で新たな就職先としてNPOが注目されていましたが、まだ世の中不景気の真っ只中で、企業・個人が社会貢献にまわすほどの資金的余裕はほとんどなく、国や自治体も財政悪化により補助金等の支出を切り詰めている状況だったので、NPO法人でも(もちろん公益法人でも)会員など資金面の支援者(寄付者)が大幅に減少して、もともと財政基盤が脆弱なNPO法人は深刻な資金不足に陥っている様子がよく報道されていました。NPOに就職しても、まともな収入が得られるのはほんのわずかで、大多数は、その活動の専門性から高い能力を必要とされていながら、その給与は世間一般よりもかなり低い状況でした。

 今は、大企業を中心に景気が回復傾向にあり、就職氷河期も終わり、団塊世代の大量退職という2007年問題も相俟って、就職戦線は売り手市場、企業も待遇アップで大幅な採用増に乗り出しているので、NPO法人はどこ吹く風、就職先としてのNPO法人などという報道はぱったり見なくなってしまいました。

 わが国では“寄付文化”は何かと等閑視されがちですが、この寄付文化を醸成するためには、税制面と、もっと手軽に寄付ができるような仕組みといった環境面での整備が必要です。しかし税制面では、ほんの一部の自治体で「1%寄付」のような試みがなされてはいるものの、ほとんどと言っていいほど見直しされていません。また手軽に寄付ができる仕組みも、4年前と比べて、ほとんど変わらず、最近やっと、例えばマイクロソフトがNPOの支援に乗り出したり、インターネットを使用した仕組みが開発され始めているということを耳にする程度です。

 寄附者にとっては、その団体の活動内容や財務諸表の報告が寄付に際しての重要な判断要素となるわけですが、会費や寄付金といった善意の資金を集めるための情報公開や報告のあり方については、NPO法人の数が3万を超えてなお、未だに会計基準すらなく、やっと今会計基準を作るべきかどうかについて検討が行われているといった状況です。

 一方、NPO法人を制度的に発展させていくためには、法人・組織の中核となる人材の募集・育成も重要事項の一つであります。そのためには最低限の待遇や教育費用が必要なのは当然のことで、その費用は団体の基本的な維持費であり、利益の分配とは異質のものでありますが、この点に関しての社会の理解が非常に薄いのも、4年前と全くと言っていいほど変化が感じられません。

 NPOが社会で評価されるメルクマール(指標)は、その行う事業を通しての“社会貢献性”です。

 「何のために」という使命こそが、NPOの存在意義に他ならないのですが、その高いミッション(使命)を果たし、理想を実現するためのモチベーションを持続するために、もう一つの側面として高度な経営感覚も必要とされることは、永遠に変わることはありません。

 数は増え続けていますが、未だ制度草創期の混乱の中にあり、厳しい現実に突き当たっているこの難局を、NPOの人たちが使命を果たすという志を失わず、何とか乗り越えてゆくことを、期待してやみません。

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2007年3月13日 (火)

公益法人とNPOの統合

 この問題は、これからこのブログや、筆者の運営するサイト、メールマガジンその他の発行物などで何度も取り上げることになると思いますが、まず最初として、その大きな括りについて触れてみたいと思います。すでに公益法人やNPOに携わっている関係者の方々には、だいたい想像がついているかも知れません。

 いわゆるNPO法(特定非営利活動促進法)は、1998(平成10)年に制定、施行されました。

 NPO法の制定過程において、当初は、民法の公益法人(社団・財団法人)制度を改正して創設することが考えられましたが、民法はわが国の基本法であることから、改正が容易でなく、かつNPO法の制定が急がれていたことから、独立した法律として制定されました。したがってNPO法は、対象とする非営利活動の分野を特定するなど公益法人制度にはなかった新しい規定をいくつが取り入れはしたものの、大筋では似通ったものとなり、公益法人類似の制度と言われています。

 一方、大本の公益法人制度は、根拠法である民法の1896(明治29)年の制定、1898(明治31)年の施行とともに発足以来、幾度の戦争や、戦後の経済成長などその取り巻く社会情勢がめまぐるしい変化を遂げたにも関わらず、民法がわが国の基本法であることから、百余年にわたり根本的な改正は行われず、問題が起こるたびに行政指導を繰り返すことによって制度の運用を続けてきました。

 しかしながら、1990年代のバブル経済崩壊以降迫られることになるわが国行財政改革の過程において、天下りや一部の高額な役員報酬、行政との癒着や不正・不祥事といった公益法人を巡る様々な問題が表面化し、社会で大きく取り上げられるようになって各方面から制度疲労が叫ばれ、その存在意義が問われるに至って、2000(平成12)年末の行政改革大綱の閣議決定以降、ようやく法制度および会計制度の抜本的な見直しが行われることとなり、新しい会計基準が先行して昨年4月から適用、設立の許可主義および主務官庁制の廃止などを柱とする新たな公益法人制度の法律が昨年5月に可決・成立、6月に公布されました。

 現在は、つい先日新制度下の公益認定等委員会の委員が決まるなど、平成20年度の施行へ向けて準備作業の真っ只中にあり、行政改革を起点としたこのたびの公益法人改革の動きも、いよいよ終局へ向かいつつあるのではないかと思います。

 先述の通り、公益法人制度はわが国の基本法である民法を根拠法とすることから、法の不備が数々指摘されるに至ってもなかなか法改正が行われず、したがってその不備を補うために、最近は指導監督基準とその運用指針を基に行政指導が行われてきましたが、今度の新しい公益法人制度では、その指導監督基準の内容が見直された上で明確に法に規定されているほか、NPO法の17ある特定非営利活動と同じ形式で、23の公益目的事業が列挙され、NPO法の規定や、会社法の規定をふんだんに取り入れた制度となりました。簡単に表現すると、筆者のイメージでは、NPO法が公益法人を追い越して先行し、今度は公益法人がNPO法を追い越して、NPO法人より先行することになった感じです。

 筆者は、公益法人制度とNPO法人制度は本質的に同じであり、改正が難しかった民法の公益法人制度が改正された今、将来的には統合されるものであると、今のところ考えています。しかし、特にNPO法人の関係者の中に、この考えに反発する方々も少なくありません。

 だいぶ文章が長くなってしまいました。あまり長いとブログとして相応しくなくなってしまいそうなので、最初はとりあえずこの辺にしておいて、私の考えの根拠や統合方法など、この問題については、また改めて述べさせていただきたいと思います。

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2007年3月12日 (月)

NPOよ、がんばれ(公益法人も)

 NPO法人について、昨年9月以来、どうしてもひとつ気にかかることがあります。

 それは、内閣府に設置されているNPO法人制度検討委員会が昨年9月に発表した中間報告に記述されている以下のくだりです。

 特定非営利活動法人においては、一部の理事による不適切な業務執行に対し社員総会や監事による抑止が効果的になされないといった事例が見られており、活動に参加する市民の意見が法人の業務運営に一層反映されるよう組織管理のあり方を見直す必要がある。(4ページ)

 法人の最高意思決定機関である社員総会は、活動に関わる多様な市民の意見を集約し、法人の業務運営に反映させる重要な役割を担うものであり、一部の理事が他の役員や社員の声を十分に聞くことなく業務運営を行うようなことがあってはならない。このため、市民が社員という立場で、法人の業務運営に積極的に参画し、社員総会において法人の活動に関する提案や意見を述べる機会の確保方策等について検討することが適当である。(9ページ)

 これはつまり何を言おうとしているかというと、NPO法人の社員総会は形骸化しているので、社員が積極的に発言し社員総会が活発になるような仕組み(制度)を何か作ってあげたほうが良い、ということです。

 筆者は、NPO法人がまるで子供扱いされているこのような記述を見たとき、非常に悲しくなってしまいました。社員が積極的に発言し法人の活動に参加するという、あまりにも当たり前のことを、わざわざ制度を作って、手取り足取り教えてあげないと、NPO法人はできないんだと思われているのではないかと感じたからです。

 社員総会の形骸化自体は、何もNPO法人だけの問題ではなく、株式会社その他の企業、公益法人や他の非営利の法人・組織にも見られることですが、他の法人制度上、この形骸化を防ぐための法令の規定はあるのでしょうか。勉強不足なのか、私は見た記憶がありませんし、そもそも、社員総会・理事会・評議員会など法人の機関の形骸化の問題は、あくまでも当事者自身の問題であって、わざわざ法令に規定するような問題ではないと考えるのですが、いかがでしょうか。

 具体的には、社員が法人の活動に関して自由に発言する権利のようなものを、法律上明確に規定することが考えられますが、こんなことは当然のことであって、わざわざ法令に規定するようなことではないと思うのですが、いかがでしょうか。

 案の定、先の中間報告に関しては、「現時点でも総会において社員が意見を申し述べる機会はあることから、社員の意見提案権のようなものを格別法律に規定する必要はない。」といった意見が寄せられていました。

 なお、ここで言う社員とは、いわゆる世間一般で言う会社・法人などに雇用されている社員(従業員または職員)のことではなく、法人・組織の構成員を指すものです。社員のことを「会員」と言うこともあります。

 世間一般で言う社員・従業員・職員といった方々は、組織の一員として生活をかけて生きていらっしゃるので、自由に発言することが難しい場面が数多く存在します。しかし法人の機関を構成する社員の方々は、個々の生活とは関わりなく、その法人の活動の趣旨に賛同して関わることがほとんどで、自由に発言できる立場にあるのですから、法律に規定するまでもなく存在するその権利をぜひ積極的に活用し、法人の活発な活動・発展に寄与していただきたい、と切に願います。

 蛇足ですが、先に述べたとおり、法人の機関の形骸化はNPO法人だけの問題ではありません。このブログでNPOとともにテーマにしている公益法人も、同じ問題を抱えているのは当然のことであります。なので公益法人の方々にも、この問題についてはぜひ考えていただきたいと思います。

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