NPOでサラリー生活、いいじゃありませんか
NPOという言葉は、人々に誤解を与えることがしばしばあります。そのひとつが、NPOで働く人たちの報酬の問題です。
NPOは、多くのボランティアの人たちによって支えられている組織であることは事実です。しかし、そもそも、ボランティア(volunteer)の言葉の意味は、日本では「無償の奉仕活動」という意味をもつ、またはイメージをすることが多いのですが、英語の辞書を紐解いてみますと、「志願者、有志、自発的な、自ら進んでする」などの訳が出てくるだけで、「無償」といった文字は出てきません。つまり、ボランティアとは本来、あくまでも自発的な行為のことを指すのであって、無償であるか、有償であるかは問題とはならないのです。
NPOと言えどもひとつの組織であって、組織である以上は、継続的に維持・運営していかなければなりません。ボランティア活動をするにしても、そのボランティアを集め一定の規律の上に活動を行わせ、集まった寄付金を管理したり、様々な文書を作成したり、社員総会や理事会を開催したりするためには、そのための人材が必要になってきます。それも理事の方たちや構成員である社員の方々が無償でできる範囲のうちはいいのですが、社員の人数や扱う金銭の額など、その活動や組織の大きさが一定の規模を超えてくると、責任も重大になり、限られた人たちではやっていけなくなってしまいます。そうすると、職員を雇用して日常的にNPOの活動を維持・管理運営していくための事務を行い、理事が常駐で事務を管理することが必要になってきます。そのようなときには当然、無給というわけにはいかず、その事務の量や質、責任の大きさに応じた報酬を払わなければならなくなるのはごく当たり前のことです。
NPOは言うまでもなく非営利の組織で、剰余金を分配することは許されませんが、このような理事や職員への報酬は、決して剰余金の分配ではなく、組織を維持・管理するための必要経費に他なりません。
5年ほど前、長引く景気低迷により寄付金などの資金が集まらず、NGOやNPOの財政にも深刻な影響を与えていたとき、その財政難の実情がいくつか報道されていました。就職難の学生の新たな就職先として注目を集めだしていたNPOでしたが、ある国際的な活動を行うNPO法人では、職員採用の条件として、英語が堪能であることを挙げていたものの、給与は15万円ほどだったという記事を読んだ記憶があります。給与は当然、その組織の財政力にも左右されます。NPOやNGO、公益法人といった非営利の組織では、その性質上、一般企業が必要とする能力以上の能力を必要とされることもたびたびあります。しかし、財政的に余裕がない組織も非常に多いです。一般企業でも同じではあるでしょうが、その能力や責任に見合った報酬の問題は、NPOの抱える大きな課題のひとつであって、まず何よりも、世間一般がこのことについて誤解せずに理解を深めることが大前提です。
最近、ある人から、ある公益法人の指導を行っている会社が、発行する月刊誌の編集後記で、「NPO法人でサラリー生活を送ろうとは、心得違いも甚だしい」というようなことを書いていたということを耳にしましたが、このようなことを書かれるのは非常に心外で、これこそ誤解も甚だしいのではないかと思いました。仮初めにも公益法人の指導をしている会社が、このようなことを言えば、その影響は大きいはずです。この公益法人の指導をしている会社が本当に公益法人のことを理解しているのか疑問に思いますし、このような思い込みや誤解が広まらないことを切に祈ります。
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