2009年1月19日 (月)

平成20年(新々)会計基準の適用対象と適用時期について

 昨年4月11日、内閣府公益認定等委員会から、新しい公益法人会計基準が公表されました。

 前回(平成16年10月)改正された新公益法人会計基準が平成18年4月1日に適用されてからたった2年しか経っていないことから、今回の会計基準は「新々(会計)基準」、または「平成20年基準」(前回改正の新基準は「平成16年(改正)基準」)などと呼ばれたりしています。

 さて、今回の新々会計基準は、公益法人改革三法(新制度)が施行された平成20年12月1日以降に開始する最初の事業年度から適用されますが、新制度では、一般社団・財団法人と、公益社団・財団法人のほか、一般社団・財団法人の中には新設の法人と特例社団・財団法人(既存の公益法人)から移行した法人が並存したり、5年間は特例社団・財団法人が存続したりと、複数の区分の法人が存在することになります。

 そのため、新々(平成20年)公益法人会計基準においては、適用対象となる「公益法人」を、運用指針で以下のように定めています。

 ① 認定法第2条第3号に定めのある公益法人(以下「公益社団・財団法人」という。)

 ② 整備法第123条第1項に定めのある移行法人(以下「移行法人」という。)

 ③ 整備法第60条に定めのある特例民法法人(以下「申請法人」という。)(整備法第44条、第45条の申請をする際の計算書類を作成する場合。)

 ④ 認定法第7条の申請をする一般社団法人又は一般財団法人(以下「一般社団・財団法人」という。)

 はて、これでは一体何を言っているのかわかりづらいと思いますので、簡単に説明します。

 ①は新設の法人を含めて、既に公益社団・財団法人の認定を受けた法人であり、

 ②は特例社団・財団法人が一般社団・財団法人に移行した場合で、公益目的支出計画が終了していない(公益目的財産額が残っている)法人、

 ③は特例社団・財団法人が移行認定(公益)または移行認可(一般)の申請をする際に提出する計算書類を作成する法人、つまり解散をしないかぎり、新制度に移行する前の特例社団・財団法人はすべて③に該当します。

 ④は新設の一般社団・財団法人で、公益認定の申請をしようとしている法人を指しています。

 新々公益法人会計基準は、建前上、適用を強制されているものではありませんが、公益認定(移行認定を含む)を申請する場合または特例社団・財団法人が一般社団・財団法人へ移行する場合の申請書類に添付する収支予算書の様式が、新々会計基準(の運用指針)を尊重した様式となっているので、どちらの場合も新々公益法人会計基準に則った会計処理をするのが理に適っていると言えます。言い換えれば、新制度の下では、新設の一般社団・財団法人で公益認定を申請する予定のない法人以外は、すべて適用対象になっていることになります。

 次に、ではいつから新々公益法人会計基準を適用すべきかについてですが、運用指針の附則で、特例社団・財団法人については平成20年12月1日以後開始する最初の事業年度の財務諸表までは、平成16年改正基準のもので申請書に添付することができますが、公益認定の申請を予定している新設の一般社団・財団法人については、人格のない社団(任意団体)の時代に如何様な会計処理をしていたかに関わらず、特例社団・財団法人のような特例措置はなく、申請時に提出する財務諸表は、新々会計基準によっていることが求められています。

 もう少し分かりやすく言えば、新設も含めて公益認定を申請する場合と、特例社団・財団法人が公益目的財産額を有して一般社団・財団法人への移行認可の申請をする場合、基本的には申請をする前事業年度の決算からは新々会計基準を適用する(実務上は最低でも決算時に組み替える)必要があるのですが、特例社団・財団法人に限っては、平成22年度中の申請までは、前事業年度の財務諸表は平成16年基準のものでも構わないということです。

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2009年1月 4日 (日)

ご無沙汰していました

 一昨年の11月以降、更新が途絶えてしまっていました。

 それまでは、ずっと一人で活動していたのですが、一昨年の12月から、知人の紹介で、とある会計事務所にお世話になることになり、そこで会計・税務業務と併せて公益法人の新制度移行のコンサルタントとして活動することになったため、一気に多忙になり、ブログを更新する余裕が皆無となってしまったのでした。

 お陰様で公益法人のコンサルタントとして活動を始めてから1年が経ちましたが、この間、素晴らしい仲間にも恵まれ、公益法人が抱える様々な問題の解決に取り組みつつ、私の専門分野である公益法人やNPO法人だけでなく、社会福祉法人、医療法人、宗教法人など幅広い分野にも携わることができ、昨年は大変充実した時間を過ごすことが出来ました。

 昨年12月から、いよいよ新たな公益法人制度がスタートしています。

 新制度への移行だけでなく、その前に解決しなければならない問題を抱えている公益法人も多く存在していると思うので、まだまだ本番はこれからで、今年はさらに忙しくなっていくのではないか(ぜひなってほしいのですが・・・)と思うのですが、だいぶ仕事にも慣れ、多少なりとも時間が作れそうな気がするので、またこのブログを再開してみたいと思います。

 もともとこのようなテーマで、訪問者もそんなに多くはないのでどうしようかと思っていたのですが、友人からの「参考になりました」との便りが、私の背中を押してくれました。

 「NPO会計道」の脇坂誠也先生、全然更新していなかったのにNPO会計関係ブログの中にずっとリンクを貼り続けてくださいまして、ありがとうございました。

 「公益性の構造転換~パブリック・ベネフィット研究所」の富永さとるさん、昨年暮れにやっとお名刺を交換し、ご挨拶をすることができまして、ありがとうございました。

 そのほかに、一人で活動するようになってから今まで、親身なって情報交換やご指導をいただいた先生がいたことも、励みになりました。これからもよろしくお願いいたします。

 ブログが更新できなかった間、公益法人は新制度施行に向けて激しい動きがありましたが、コンサルタントとしての仕事をしていたこともあって、最新情報は逐次チェックし、勉強自体はずっと続けていましたし、自分自身様々な実務上の問題に直面してきました。

 どれくらいの頻度で更新できるかわかりませんが、これからまた、そのひとつひとつの問題について、私なりに考察をしていければと思っています。

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2007年11月16日 (金)

NPOの見張番、公益法人にも

 しばらく日にちが空いてしまいましたが、執筆を再開します。

 内閣府のNPOホームページでは、9月から「NPO見張番」なるページを開設し、運用しています。

 ここで提供されているのは、主に平成18年度以降の以下のような情報です。

○ 設立の認証を取り消したNPO法人

○ 「特定非営利活動法人」「NPO法人」に紛らわしい名称を使用する団体情報

○ 過去の実施状況
  ・ 監視・監督の種別
  ・ 実施年月日
  ・ 法人の名称
  ・ 主たる事務所の所在地
  ・ 市民への説明要請・改善命令の概要
  ・ 市民への説明要請に対する回答文書

 実際に、設立の認証を取り消されたNPO法人や、市民から情報のあった紛らわしい名称を使用している団体の名称が挙げられています。

 今着々と新法の施行へ向けての準備が進んでいる新たな公益法人制度においても、国の管轄はNPO法人と同じ内閣府ということもあって、おそらくは制度の運用に当たってこの「NPO見張番」と同様なページが作られるのではないかと考えられます。

 「NPO見張番」に限らず、内閣府の「NPOホームページ」は新たな公益法人にとっても非常に参考になりますし、将来的には統合の可能性も考えられますし、はたまた現行の公益法人が新制度へ移行する際、法人として存続する場合のひとつの選択肢にもなりえるかもしませんので、折に触れてご覧になっておくことをお勧めします。

(いずれも内閣府)

・NPO見張番

http://www.npo-homepage.go.jp/information/surveillance.html

・NPOホームページ

     http://www.npo-homepage.go.jp/index.html
 

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2007年9月19日 (水)

法人格の取得と非課税の関係について

 現行、NPO法人と公益法人は、法人格の取得(NPO法人が認証主義、公益法人は許可主義)と法人税の非課税が一体となっており、寄付金控除の優遇措置のみ別途申請が必要になっています。

 寄付金控除とは、非営利法人に対して寄付を行った者に対する優遇税制です。

 公益法人の場合、平成20年12月1日から新制度がスタートしますが、新制度では、法人格の取得(今度は準則主義)と公益性の認定が分離されることとなりました。そしてまだ決定ではありませんが、ひとたび公益性が認定されれば、法人税の非課税だけでなく、寄付金税制まで一挙に優遇されることが予想されています。

 ところで、わが国では上記のような制度となっていますが、海外では非営利組織における、法人格と非課税の関係がどのようになっているかについて、ちょっと触れておきたいと思います。

 筆者の手元にはアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの資料があるので、この各国の概要をご紹介します。

 まずアメリカですが、国家(連邦法)として非営利法人の統一的な法律は存在せず、法人格の取得は各州の法律によっています。そして法人格があるかどうかには関係なく、連邦法である内国歳入法により公益性が認められれば法人税と寄付金控除の免税措置がセットで受けられることになっています。

 次にイギリスでは、チャリティ(公益・慈善目的で活動する団体)と呼ばれる団体が、法人格の有る無しに関わらず、チャリティ委員会(第三者機関)によって公益性が認定されれば、登録チャリティとしての資格が付与され、こちらも法人税と寄付金控除の免税措置がセットで受けられます。

 ドイツでは、民法により非営利社団に法人格を付与する登録社団法人制度(準則主義)および財団に法人格を付与する制度(許可主義)と、租税通則法により地方税務署が公益性を認定し優遇税制を適用するという、2段階構造で、公益性が認定されれば、本来事業だけでなく収益事業も免税となり、寄付金控除もセットになっています。

 最後にフランスは、非営利団体は届出により法人格を取得でき、非営利法人は非営利活動を行う限りは法人税が非課税で、公益性の承認を得ると寄付金控除が受けられる仕組みになっています。

 このように、非営利団体を巡る制度は各国各様です。

 当然、NPO法人制度の制定や、新しい公益法人制度作りの際には、これら諸外国の制度を十分に参考にされています。

 どれが良くて、どれが悪いのかは一概には言えません。それぞれ、その国の風土、慣習、伝統、文化、政治的思惑によって違いがあり、わが国の制度も、各国の制度を踏まえつつ、わが国の風土、慣習、伝統、文化、そして政治的思惑によって成立しています。

 この中で筆者が優れていると考えるのは、一応政府とは独立した第三者機関となっているイギリスのチャリティ制度と、イギリスおよびアメリカの、法人格の有無に関係なく非課税の措置を受けられるという点です。

 わが国も新しい公益法人制度では、公益性を判断するため、国には公益認定等委員会が設置されており、都道府県にも合議制の機関が設置されますが、最終的に判断を下すのはあくまでも国や都道府県であり、公益認定等委員会や合議制の機関はあくまでも諮問に対して答申する権限しか与えられませんでした。

 法人格の有無に関して言えば、わが国でも法人格のない、いわゆる権利能力なき社団は法人税法上の収益事業を行っていない限りは、法人税が非課税になっています。ただ寄付金控除の制度はありません。

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2007年9月 4日 (火)

1年経っても変わらない?のんきな?公益法人

 先日平成19年版の「公益法人白書」が公表され、公益法人の現況がわかる様々な最新の統計が明らかにされましたが、公益法人やNPOに造詣のある筆者からすると、大変驚くべき?というか、非常に残念な数値がひとつありました。

 それは取りも直さず、「公益法人本来の事業費割合別法人数」の数値です。

 昨年から改善されるどころか、むしろ悪化していたのです。

 どういうことかと言いますと、現行、公益法人の指導監督基準では、公益法人本来の事業(定款または寄附行為において公益事業として規定されているもの。付随的に収益を目的とする事業を除く)の規模が、可能な限り総支出額の2分の1以上にしなければならないことになっています。

 昨年の白書では、この要件を満たしている法人は、全公益法人2万5,263法人中1万753法人で、42.6%でした。

 それが今回の白書では、全公益法人2万4,893法人中1万388法人で、41.7%でした。

 昨年より365法人、0.9ポイントもこの要件を満たす公益法人が減少してしまいました。

 指導監督基準は法律ではなく行政指導のレベルであり、またこの要件は、「可能な限り」ということなので、絶対的な強制力はありません。

 しかし、新たな公益法人制度では、公益法人認定法において、公益目的事業比率が100分の50以上となることが見込まれることが認定の基準のひとつであることが規定されています。

 したがって、計算の方法は少々ことなるものの、もし現在の数値をそのまま新しい法律に当てはめたならば、半分以上の約6割、1万4千以上もの公益法人が公益法人として生き残れなくなってしまうので、これを改善するようぜひ努力して頑張って欲しい、ということを、このブログを書き始めた当初に執筆したのですが、昨年から1年経って、公益法人の方々が努力をしてこの数値が少しは改善されただろうかと期待して白書を読ませてもらったところ、改善どころか、指導監督基準を遵守している公益法人の数が減少してしまうという結果が出てしまいました。

 もっとも、昨年の統計も、おととしの統計より悪化していましたのですが・・・・

 新しい公益法人制度は、平成20年、つまり来年の12月1日施行の予定です。

 それから5年間の移行期間の間に、公益法人としての存続を希望する法人は、必要な要件を満たさなければなりません。

 普通の感覚では、公益法人としての存続を希望するなら、わずかずつでも改善する努力をするのが当たり前なのではないかと思うのですが、この数値からは、残念ながらその姿勢も見られません。

 世間から誤解を招くもとになるのではないかと、筆者は大変懸念しております。

 一体この数字は、何を表しているのでしょうか。

 6割の公益法人は、公益法人として生き残るつもりがないのでしょうか。

 新しい法律が施行されてから5年間の間にすればいいんだから、まだいいやと考えているのでしょうか。

 しかし、このような事業の比率を改善するようなことは、簡単に3~4年でできるものなのでしょうか。

 急激な改革は下手をすると財政を悪化させ、突然のリストラによる職員の生活や、法人の存続自体が危うくなるなど様々なリスクを伴うことから、普通はゴーイング・コンサーン(事業の継続性)や安定的な経営をしていく見地から、中・長期的な計画の下、可能な限リスクを避けて徐々に改善していくものではないかと筆者は考えるのですが、どうでしょうか。

 急に1年か2年で改善するようなことは、果たしてそのようなことが可能かどうか分かりませんが、仮に出来たとしても、国民から疑いの目を向けられてしまわないでしょうか。

 ただし、白書の数字は、昨年10月1日現在のものなので、決算数値については昨年3月期のものになります。

 新しい公益法人制度の案が公表されて公益認定の基準が明らかになったのが、昨年3月です。

 つまり、今回の白書の統計は、新しい公益法人の認定基準が明らかになってからのものではありません。

 新しい公益認定の基準が公表されてからの、公益法人の動向が明らかになるのは、来年の白書の中でということになりましょう。

 今回はかなり公益法人に対して苦言を呈させていただきましたが、決して誤解を受けることなく、公益法人が社会一般から広く信頼を勝ち取れるよう日々精進して活動されるよう、心からお祈りすると共に、そのために私に何かできることがあれば、大変微力とは思いますが出来る限りの努力をしていきたいと思っています。

参考:平成19年版公益法人白書

  概要版 → http://www.soumu.go.jp/menu_05/hakusyo/koueki/pdf/2007_gaiyou.pdf

  本文 → http://www.soumu.go.jp/menu_05/hakusyo/koueki/2007_honbun.html

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2007年8月29日 (水)

NPO法人と公益法人の活動分野は同じ

 いわゆるNPO法の正確な法律名称は「特定非営利活動促進法」です。

 これは噛み砕くと、「特定の非営利の活動を促進する法律」ということです。

 「特定の非営利の活動」ですから、促進することとしている非営利の活動を、法律で特定しています。

 法律に規定されている特定の非営利活動とは、現在、以下の17項目です。

一 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
二 社会教育の推進を図る活動
三 まちづくりの推進を図る活動
四 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
五 環境の保全を図る活動
六 災害救援活動
七 地域安全活動
八 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
九 国際協力の活動
十 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
十一 子どもの健全育成を図る活動
十二 情報化社会の発展を図る活動
十三 科学技術の振興を図る活動
十四 経済活動の活性化を図る活動
十五 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
十六 消費者の保護を図る活動
十七 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

 ただ、これを見てお分かりのように、これは具体的な活動内容とは、ちょっと違うような気がします。これはあくまでも非営利活動を行う「分野」でしかないでしょう。

 上記のそれぞれの分野で、出版・広報活動や、調査・研究活動、指導・啓蒙活動といった、具体的な活動を行うことになります。

 一方、公益法人(社団法人・財団法人)には、設立の根拠となる民法では、34条に「公益に関する」と記されているだけで、具体的な活動の分野、活動内容については規定されていませんでした(指導監督基準でも)。

 さすがにそれではまずい、ということになって、今般の公益法人改革において制定された新しい公益法人制度では、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(以下「公益法」といいます)という、公益法人たるかどうかの認定要件や手続きを定めた法律において、以下のような23項目の公益目的事業が規定されることとなりました。

一 学術及び科学技術の振興を目的とする事業
二 文化及び芸術の振興を目的とする事業
三 障害者若しくは生活困窮者又は事故、災害若しくは犯罪による被害者の支援を目的とする事業
四 高齢者の福祉の増進を目的とする事業
五 勤労意欲のある者に対する就労の支援を目的とする事業
六 公衆衛生の向上を目的とする事業
七 児童又は青少年の健全な育成を目的とする事業
八 勤労者の福祉の向上を目的とする事業
九 教育、スポーツ等を通じて国民の心身の健全な発達に寄与し、又は豊かな人間性を涵養(かんよう)することを目的とする事業
十 犯罪の防止又は治安の維持を目的とする事業
十一 事故又は災害の防止を目的とする事業
十二 人種、性別その他の事由による不当な差別又は偏見の防止及び根絶を目的とする事業
十三 思想及び良心の自由、信教の自由又は表現の自由の尊重又は擁護を目的とする事業
十四 男女共同参画社会の形成その他のより良い社会の形成の推進を目的とする事業
十五 国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業
十六 地球環境の保全又は自然環境の保護及び整備を目的とする事業
十七 国土の利用、整備又は保全を目的とする事業
十八 国政の健全な運営の確保に資することを目的とする事業
十九 地域社会の健全な発展を目的とする事業
二十 公正かつ自由な経済活動の機会の確保及び促進並びにその活性化による国民生活の安定向上を目的とする事業
二十一 国民生活に不可欠な物資、エネルギー等の安定供給の確保を目的とする事業
二十二 一般消費者の利益の擁護又は増進を目的とする事業
二十三 前各号に掲げるもののほか、公益に関する事業として政令で定めるもの

 これは、現在の公益法人が行っている事業(活動)、および現在考えられる公益的な事業(活動)をまとめたものと解されます。

 これもNPO法と同様、あくまでも事業(活動)の分野であって、具体的な事業(活動)の内容ではありません。

 公益法人の場合は、上記の事業分野で、具体的にどのような事業(活動)であれば公益法人として認定するかについて、新制度の施行(平成20年12月を予定)までに、ある程度の詳細を内閣府に設置された「公益認定等委員会」においてガイドラインとして検討する予定になっています。

 それはさておき、今回筆者が言いたいのは、タイトルの通り、上記に列挙した特定非営利活動と公益目的事業は、多少表現や言い回しの違うだけで、実際は同じものだということです。

 最初タイトルは、「ほとんど同じ」という表現にしようかと思っていたのですが、このブログを書いている最中に「ほとんど」を取って、「同じ」だけにさせてもらいました。

 以前から考えていた通り、やっぱり今日改めて何度も考えて(読み返して)みましたが、全く同じです。

 なぜ活動分野が全く同じである法人が、別々の法律の下に分かれて存在しなければいけないのでしょうか。

 筆者は、以前にもこのブログで書きましたが、NPO法人と公益法人は将来的には統合される関係にある、統合されるべきであると考えています。

 その理由のひとつが、この事業(活動)分野が同じであることで、まずは、両者の行う事業(活動)分野は同一であることを、別々の法律の下に存在する必要がない理由の一つとして挙げさせていただきます。

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2007年8月20日 (月)

そもそも、財団法人って何ですか?

 このブログの読者の一人から、そもそも、財団法人とは何なのでしょうかという質問をいただきました。

 確かに、世の中の会社や団体は、そのほとんどが社団、つまり人の集合体である中で、財団という団体組織は、一種独特のものがあるように思えます。

 法人格を付与する法律も、会社法をはじめとして社団に対するものがほとんどで、財団に対して法人格を付与する法律は、ぱっと考えた限り、民法34条と医療法ぐらいしか思いつきません。

 財団とは、一定の目的の下に拠出され、結合している財産の集まりでありますが、これに法人格を付与されたものが財団法人です。

 一応説明しますと、ちなみに社団とは、一定の目的の下に結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員とは別個の社会的存在として団体の名において行動するものです。

 日本では、社団法人や財団法人というと、普通は民法34条の規定により設立された、公益法人としての社団法人や財団法人のことを指し、社団または財団のうち、公益を目的として管理運営されるものに対して、民法の規定により法人格を付与されたものを言います。

 海外にも財団は数多くあります。英語で言うと foundation が一番意味が近いと思いますが、foundation 自体には法人格の概念がありませんので、日本の財団法人の概念を正確に表現するには、juridical person(法人)という表現を添えるなど、ひと工夫必要なのではないでしょうか。

 財団法人は、社団法人と対比しながら説明するとわかりやすいのですが、社団法人と財団法人の根本的な違いは、構成要素としての社員の有無であります。

 社団法人は、社員が存在し、社員総会によって法人の意思が決定され、基本的には社員が出捐(しゅつえん)する会費をもって運営されます。

 一方、財団法人は、社員が存在せず、寄附行為によって定められた設立者(寄附者)の意思に基づいて、拠出(寄附)された財産(基本財産)の運用益をもって運用されます。

 このように、財団法人は基本財産の運用益を以って公益活動を行うことを基本としていますが、特にバブル経済の崩壊以降、低金利の時代に入り、基本財産の運用益のみで事業を行うことは困難となっていることから、実際には、賛助会員制度といった会員制度を設けている財団法人が多数存在しています。逆に社団法人は、基金を作って運用する例が目立っています。

 また、財団法人の中には、国・地方自治体の外郭団体として設立され、国や自治体からの補助金や助成金、委託費等によって運営されている法人も多く存在しています。これらの財団法人は、財団法人といいながら、基本財産は100万円とか、1千万円程度の規模しかない場合が多いです。

 最新の公益法人白書によりますと、全財団1万2,321法人の有する基本財産の額は、

  500万円未満          1,597法人

  500万円以上1千万円未満    617法人

  1千万円以上5千万円未満   3,273法人

  5千万円以上1億円未満     1,409法人

  1億円以上10億円未満     4,351法人

  10億円以上           1,074法人

   

という構成になっており、平均すると、1法人あたり413万円です(ちなみに、国所管の公益法人と都道府県所管の財団法人でかなりの差があります)。

 この統計からも、現実には、財団法人といいながら、財産の運用益だけで活動している法人は非常に少ないことが読み取れます。

 現在、公益法人の設立は、一定の財産の運用益または事業収入が見込まれないと設立の許可が下りません。以前、東京都において、財団法人であれば基本財産が5億円程度なければ設立は認められないと聞いたことがあります。その根拠は、年3%の利率として、大体年間1,500万円程度の収入があると見越し、それぐらいあれば、職員を2~3人雇用できて、一定の公益活動を行うことができるであろうと考えていました。社団法人でも、同様に約1,500万円程度の会費収入まはた事業収入が見込まれないと、設立の許可はできないとのことでした。

 現行の公益法人(社団法人、財団法人)の制度は、まもなく廃止され、新制度に移行することになっています。

 この要件が低いか妥当かは、意見の分かれるところではありますが、新制度においては、財団法人は、300万円の純財産があれば設立できることになりました。

 たった300万円で財団法人ができる・・・・(「たった」というかどうかは判断が分かれるのでしょうが)

 公益認定において、財産額の要件はありませんので、たった300万円で、公益法人にもなれてしまいます・・・・

 筆者は個人的には、財団というものの性質から、非常に疑問に思っているということがこの文面から読み取れてしまいますね。

  

 

 

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2007年8月 6日 (月)

一応意見を出しました

  そうそう、前々回(7月23日)のブログで書いた、新たな公益法人制度での公益認定にかかる政省令の案について、一応、私なりの意見を提出しました。

  以下に、意見内容を掲載します。

  お読みになったみなさんはどう思われますか。

  まだ、意見募集の締め切りまであと2日あります。

  みなさんもよかったら意見を出してみてください。

  じゃ、私の意見をご紹介しますね。

-------- ここから  ------------

1.公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」といいます)施行規則案23条(収益事業等から生じた収益に乗じる割合)について

(1)意見

  「法第18条第4号の内閣府令で定める割合は、それに対応する費用及び租税公課を差し引いた純利益のうち100分の50」とする、あるいはこれと同趣旨の他の文言に変更する、また場合によっては法律の規定そのものの改正の検討、ないしは「収益」という用語の定義をどこかで明確にしていただくことが望ましいのではないかと思います。

(2)理由

  現行公益法人の指導監督基準2(6)③において、公益法人が収益事業を行う場合、公益事業のために使用する額は、可能な限り「利益」の2分の1以上とする旨定められているところ、新法においては、「収益」の2分の1以上とされたわけですが、これは本当に「収益」のままでよろしいのでしょうか。

  公益認定等委員会(以下「委員会」といいます。)の答申においても、現行が利益の2分の1であるから新法において収益の2分の1以上とすることがあたかも当然のことのように記されておりますが、通常は、会計的にも、「収益」とは、事業を行うことによって得たすべての対価を指す用語であるのではないかと認識しております。

  そうしますと、「収益」の2分の1以上とした場合、公益法人が収益事業を行う場合は必ず50パーセント以上の収益率で事業を行わなければならなくなりますが、一般的には、利益率50パーセント以上で事業を行うことは、いかなる事業においても普通はあり得ないのではないかと思われます。

  新法で言う「収益」が、「利益」と同義で使用されているのならば問題はありませんが、委員会の議事録あるいは新法に関する他のどの資料にも、「収益」の明確な定義づけを行っている部分は見当たらなかったのですが、通常は、「収益」と「利益」は同義ではなく、「収益-費用=利益」という算式において、「利益」は「収益」から費用を差し引いた部分を指すのであって、「収益」と「利益」は同義ではありません。

  現在の規定がそのまま施行された場合、将来的に大変なことが起こるのではないかと危惧しております。

  これが私の何かの勘違いであった場合には、どうかご容赦ください。これが私の杞憂に終わることを願っております。

2.認定法施行令案要綱の第6について

(1)意見

  法律の規定からすると、負債だけではなく、収益、費用、損失についても基準を設けるべきではないでしょうか。

  その場合には、現行の指導監督に準じた額が望ましいのではないかと考えます。

(2)理由

  認定法第5条第12号を何回読んでも、「収益の額」「費用の額」「損失額」「その他の政令で定める勘定の額」の「いずれも」「政令で定める」というふうに読めてしまうのですが、もしこのように解釈するならば、政令においては「負債」の額だけではなく、「収益」「費用」「損失」の額についても基準を定める必要があるのではないでしょうか。

  基準を定めるならば、現行の「公益法人会計基準の運用指針について」7.において定められたキャッシュ・フロー計算書を作成しなければならない大規模公益法人の規模の基準額準じることが望ましいのでないかと考えます。

  もし私の認定法第5条第12号の読み方が誤っていた場合には、どうかご容赦いただきますようお願いいたします。

--------------  ここまで  ----------------------

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2007年7月30日 (月)

財団法人の評議員の選任方法から思うこと

 財団法人の評議員(会)は、現行民法には規定がなく、行政指導により設置されている機関です。

 評議員(会)は法人の執行機関(理事)の監督機関と位置づけられ、財団法人では通常、この評議員により理事が選任されています。

 そして、法定の機関ではないので、その選任方法が法人の任意に委ねられていたところがあったのと、財団法人の性質上、今まではこうするしかなかったといえば、こうするしかなかったのかも知れません。

 評議員は、理事が選任することとしている財団法人が多いようです。

 お互いがお互いを選任するこの方法は、執行機関(理事・理事会)が、本来これを監督すべき評議員会の構成員である評議員を選任することは、被監督者が監督者を選任することとなるため、評議員会の執行機関への監督が十分に果たされなくなってしまうという問題を孕んでいます。

 確かに、何か変な感じがしないでもないですよね。いつ馴れ合いになってもおかしくないと言うか・・・

 これは他の法人制度にはない、財団法人特有の問題のように考えられます。

 このような問題を解消するため、新しい公益法人制度では、評議員を理事会が選任することを禁止しています。

 ではどのようにして評議員の選任を行うのでしょうか。

 法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)では、具体的には定められおらず、ただ定款で定めることとだけしか規定されていません。

 要は、理事が選任する以外の方法であれば、どのような方法でも構わないと解釈できます。

 今のところ一般に考えられているのは、以下の3つの方法です。

 ① 評議員会の決議による方法

 ② 評議員の選解任のための任意の機関を設ける方法

 ③ 外部の特定の者に選解任を委ねる方法

 おそらく、①の方法が圧倒的に多くなるのではないかと予想されます。

 しかしながら、自分たちで自分たちを選任する方法というのも、どうなのでしょうか。

  株式会社を含む他の社団は、構成員(株主や社員、組合員など名称はいくつかあります)が役員(取締役や理事など)を選任するのが普通です。

 したがって②や③にした場合には、他の法人制度に近くなる気がします。

 

 しかし、しかしですよ。

 ②や③にした場合でも、その任意の機関や外部の特定の者は、一体誰が選ぶのでしょうか。

 理事が選ぶにしても、評議員自らが選ぶにしても、結局は、やろうと思えば自分に都合のよい人を選任することができてしまいます。

 ①~③の方法であっても、執行機関への監督が十分に果たせるとは、必ずしも言えないのではないでしょうか。

 私もお恥ずかしながら、株式会社などの仕組みを勉強した学生の頃は、なんて素晴らしい仕組みなんだろうと思っていましたが、社会に出てみて初めて、現実は、理想とは程遠いことがわかりました。

 現実には、世の会社は、上場企業以外、そのほとんど(私が知る限りでは全部といっても決して過言ではないのですが、でも中にはそうではないものもあるかも知れません)が、オーナー企業で、株式を自由に売買することはできず、社長(またはその一族)が唯一株主か、または持ち株制度があったとしても、過半数は必ず保有している、つまり、社長(またはその一族)が会社の所有者であります。

 つまり、上場企業以外は、経営者と所有者(株主)が分離しておらず、同一なのです。

 上場企業にしたって、私の見聞きしてきた限りでは、一般の株主が保有している割合が過半数の会社は稀で、最近は多少解消が進んでいるようですが、馴れ合いに近い大企業同士の株式の持ち合いや、いわゆる安定株主によって過半数の保有を行い、基本的には社長や役員の思うがままの会社が非常に多いです。

 少々とりとめがなくなってしまったように思います。

 今回は何が言いたかったかというと、財団法人制度に関しては、新しくなっても、結局、被監督者と監督者の関係の問題は、解消し切れていないのではないでしょうか、でもこれは、財団法人特有の問題ではありますが、似たようなことは一般の法人人にも言えることです、ということです。

 理事は評議員会で選任し、評議員は自分で自分を選任するのも何だし、任意の機関や外部の特定の者に選任を委ねるにしても、評議員の選任方法は具体的には法定されていないので、理事が選任することが可能といえば可能です。そうすると、実質的には自分の都合のよい者を選任することが、結局は可能になってしまいます。

 何か、堂々巡りのようですね。

 最後に、唯一救われていると思うのが、NPO法人や公益法人としての社団法人だと思います。

 NPO法人や社団法人については、社員になるにあたって、不当な条件を付すことは認められないので、一定の要件を満たせば、基本的には誰でも構成員になり、法人の運営に参画することが可能です。

  

 

 

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2007年7月23日 (月)

どうしても、ひとつだけ気になることが・・・

 7月10日に、内閣府は新しい公益法人制度における、公益認定等に係る政令・内閣府令の案を公示し、意見の募集を始めました。

 

 政省令策定にかかる公益認定等委員会(以下「委員会」といいます)の議事録をつぶさに読んできましたが、委員会ではかなり詳細な議論がなされており、特に、事務局は新制度の法律をよく勉強・理解して審議事項を作成していて、年金問題をはじめとして官僚のイメージがあまりよくない昨今、この方たちは優秀で熱心な官僚だなあと感心してしまいました。むしろ委員よりも事務局のほうが詳しいのではないかと思うくらいでした。この場をお借りして事務局の労をねぎらいたいと思います。

 

 さて、6月15日付けで公表された委員会の答申を読んだときから、気になっていたことがあります。

 

 認定法18条4号において、収益事業等から生じた収益に内閣府令で定める割合を乗じて得た額に相当する財産は、公益目的事業のために使用し、または処分しなければならないことになっているのですが、これが委員会の答申のとおり、認定法施行規則の案23条において、100分の50と規定されました。

 

 現行の公益法人の設立許可及び指導監督基準でも、可能な限り収益事業の利益の2分の1以上は公益事業のために使用することとされているのですが、これが新法では収益の2分の1以上になりました。

 

 これって、このままでいいのでしょうか。

 

 委員会の答申では、現行でも収益事業の利益の2分の1以上であるからとして、収益の半分は公益目的事業財産に組み入れるべきことがあたかも当然のことのように述べられています。

  

 しかしながら、通常、収益とは事業から得た対価を指し、収益から対応する費用を差し引いたものが利益、つまり収益-費用=利益であって、収益と利益とは同義ではないと考えられます。

 

 そうですよね?

 

 したがって、新法の規定に拠れば、公益法人は利益率50%以内で収益事業を営まなければならなくなってしまいます。

 

 利益率50%以内で事業を行うなんて事は、普通は不可能ではないでしょうか。

 

 この内閣府令がこのまま成立してしまった場合、とんでもないことが起こるのではないでしょうか。

 

 一応、8月8日まで意見の募集(パブリック・コメント)が行われていますので、それまでに意見してみようとは思います。これが何か私の勘違いで、杞憂に終わるといいのですが・・・

 

 もしこのブログを読んで、私と同じような疑問を持たれた方がいましたら、よかったら意見してみてください。

 

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